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四街道店
意図的に写真を撮る
投稿日:2016/11/13
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Photo by katsu
自分がカメラを握るときに、どんな写真を撮りたいかと自分自身に質問すると、1つは僕から見たその子らしさを撮りたい、そしてもう1つは、写真をみてイメージがわくような繊細な写真を撮りたいと常に思っています。
1つめのその子らしさというのは、喜怒哀楽、その子のふとした瞬間の表情・行動、新たな一面を探していきながら記録していくことが楽しいし、発見をすることで学びが自分の中にあるからです。
2つめのイメージがわくような繊細な写真を撮りたいというのは、写真1枚がデザインされている1枚のような写真を残したいというのがひとつ、そして自分の性格的が顔に似合わず繊細なので、こまかな所まで美しく表現したいというのが願望であるからです。
この2つは僕の中で写真を撮るときの基準であり、同時に楽しみでもあります。
そして今回僕が撮った写真は、1つめのその子らしさを表現した写真です。
ある日の最後の撮影枠のお客様で、ママと2人できた男の子です。撮影前にママと待っているときのこの少年は、とても行儀よく、静かにママの向かい合わせの椅子に座り、とくに何をするわけでもなく、撮影が始まるのを静かに待っていました。最初声を掛ける前に、内心人見知りの子がきたのかな?と思い、静かに声をかけてみると、少し恥ずかしがりやではありましたが、しっかりと名前を一人で言える立派な男でした。話をすれば素直に聞いてくれ、若干おとなしさを感じましたが、冗談を混ぜながら話をしていくと、本当は遊んだり、ふざけたりしたいけど、その欲求を抑えていることが分かりました。多分、写真を撮りにきたという認識がしっかりあったので、遊びにきたわけじゃないと自分に歯止めをきかせていたのを感じました。けど、初めての場所で、冗談をいうお兄さんがいて一緒に遊んだり、スタジオで自由に遊びたいという好奇心はカウンセリングの中で十分に分かりました。
いざ撮影をはじめていくと、思った以上にとても素直な子でした。足にチョコがついてるといえば、どこ?って感じで足をみて、お兄さんの鼻の中にジェットコースターがあるといえば、何それー?っていう感じでケラケラ笑いながら探す少年でした。
そんな少年の行動が僕の目にはとても可愛く見え、色んなこの少年の行動を残したいと思いこの写真が生まれました。
草加店は太陽の光がよく入る店舗です。今の季節は朝の9時くらいから2階のホリゾントの所にある窓から光が入り、午後の2時から3時くらいには1階のビンテージの窓からの光がたくさん降り注ぎます。またこの時間帯は、車のドア側の床に綺麗な光の線が長く見えます。
そういった条件を踏まえて、この少年のらしさを撮ろうと考えました。
テーマは「好奇心」の表現です。
この少年の身長では、車の中が車のドアの窓を通して見えそうで見えない身長でした。そのためそれを利用して、背伸びしているところをポイントにして写真に残そうと考えました。
本当は最初足のパーツカットを撮ろうとしましたが、足のパースカットのみになった場合、何でこの少年が好奇心をそそられ、背伸びしているのか明確にイメージを与えることが難しいと判断し、車を入れることにしました。
そして次に顔をどこまで写すかと考えたときに、表情を入れたら、もしかしたら自分がポイントとして表現したい背伸びしている足に目が1番に行かないのではないかと思い、顔を思いっきり覗き込むように誘導しました。
次に、より足に目がいくように、露出を下げて光の明暗を作りました。そうすることにより、光の道が明確になり、なおかつ光の中に、少年の背伸びした足を写し、陰も作り、強調性を強めました。
また、写真の構成要素として、基本的には、縦の線を垂直になるように意識しました。この縦の線を水平垂直にすることにより、縦の線の統一感を出しました。
また、車を全体的に前ボケを通してあまりぼやかさなかった理由としては、写真をみて、車とすぐにわかるようにしたかったためです。この少年の好奇心は、車と関係がもっともあるために、それを隠しすぎると、この少年と車の関係性があやふやになってしまうと感じたからです。また、この前ボケで、右上にあるインテリアの木との遠近感もだそうとした理由と、あくまで、子供に最初に目が行ってほしいので、車にも、後ろの木にも少し前ぼけを使いはっきり写さないようにしました。
そして、鉄の棒を入れた理由としては、アンダーの写真になってしまうと全体的に暗すぎると思い、ちょうど光が反射して綺麗だったので入れたという理由があります。
このようにして、写真の構成要素を整理し、光の明暗を通して背伸びしている足を表現してみました。
写真には正解がありません。そのため人によって写真の判断基準が違ってきます。どんな写真をみても、この写真は良い、悪いという話がよくなされていますが、肝心なことは、良い、悪いではなく、写真を撮った本人がしっかり撮った理由、説明を明確にすること。写真を通して人と話をするのであれば、相手を納得させるだけの理由と説明をして理解してもらうことが重要なのではないかと考えます。そしてこの相手を納得させるため、理解してもらうためには、写真を偶然的にただ撮るのではなく、意図的に撮らなければ、難しいのではないかと感じます。
また、意図的に撮ることにより、写真1枚に対する価値が断然的に違うのではないかと考えます。
お弁当で例えるのであれば、意図的に撮った写真は手作り弁当で、ただ撮った写真は無難なコンビニ弁当だと表現できるかもしれません。
手作り弁当は、相手のことを考えながら、一つ一つおかずを作るため、時間はかかるし、作った結果まずい弁当が出来上がるかもしれませんが、その人のことを考えて作ったお弁当には、愛とか思い、感動を届けることができるかと思います。
コンビニ弁当は無難に美味しいですが、そこには感動とか愛は手作り弁当よりは薄いのではないかと感じます。
このようにして考えると、私たちライフスタジオは人に価値を置き、お客様をただの消費者として考えるのではなく、一人の人として見て、価値を一緒に生産していく人として考えてお客様と接しているため、日々の撮影も意図的に写真を撮っていくことが重要であると僕は考えます。
もちろん、75カットを全部意図的にクオリティーの高い写真は難しいかもしれませんが、挑戦をし続けないといけない理由とやりがいは明確的にあることがわかります。
写真分析っていいですね。色々な発見があるので。
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