Photogenic
横浜青葉店
写真に残るもの
投稿日:2021/2/24
2607 10
Photo by Kaori Kobayashi
Cordi by Takuma Oto
in YokohamaAoba
撮影の時間は、誰の、どんな、時間なのでしょうか。
それは、撮影している本人、家族、わたしたち撮影者にとっても、
二度とは戻らない、大切な掛け替えのない時間であると思います。
楽しいとか、恥ずかしいとか、嬉しいとか、面白いとか。
感動したり、また会いたい、と思うことも。
全部全部、当たり前じゃなくて、かけがえのないもの。だからこそ。
誰にとっても大切な場所であり続けられるよう、
頑張らなくては、大事にしていかなくては。
そう常に思います。
写真の彼は1歳の時からライフスタジオに来てくれています。
私が撮影に入るようになったのはここ数年の話ですが、
それより以前より担当したスタッフから彼の話をよく聞いていたので、なんだか昔から知っているような感覚です。
素直で、話し出したら止まらなくて、いつもパパママにつっこまれ、怒られてる(笑)
無邪気で可愛くてやんちゃな少年。それが彼でした。
その笑顔は昔から変わらなくて、周りを明るくしてくれます。
前回会ってから、約1年半。
お久しぶりの再会でもあり、前回も少し照れるような素ぶりを見せていたので、
もしかしたら今年はもうあまり話してくれないかも?撮影に乗り気で無いかも?など、
いろんな想像が膨らんでいました。
小さかった彼も、もう12歳で、小学校を卒業して、中学生になります。
お年頃な時期だろうし、どうだろう。
そんな風に思っていました。
出会って数秒で、その心配がないことにホッとしました(笑)
話し方も変わらないし、話し出すと止まらないのも彼らしくて。
初めましてのくまちゃんとも、すぐに友達になりました。
それでももちろん1年半ぶりの彼の変化は大きくて、
背も伸びたし、見せてくれる表情も大人っぽくなっていました。
でもすぐに笑っちゃうその笑顔は変わらなくて。
彼の変化も、変わらないところも、余すことなく残したい。
そんな風に考えながら、撮影がスタートしました。
思った以上に彼はなんでも反応して笑ってくれて、
こちらが嬉しくなるほどに大爆笑してくれて、
終始笑いが絶えない時間となりました。
笑いすぎて途中カメラが震えるほど(笑)
それでも彼の撮影のご希望は「かっこ良く撮ってください!」だったので、
いろんな角度から彼を捉えていこうと、
私はカメラを持ってあっちやこっち、試行錯誤しておりました。
この写真については、西日を利用して、
光の明暗さをがっつりつけてかっこいい写真が撮りたいと目論んでおりました。
撮影の場所を指定しながら、
「この西日で撮りたいんだ〜この光は今しかないのよ〜」と彼に伝えてみたところ、
「一日の終わりの日の光を背負って、終わりを迎える、みたいな!?いいね、いい感じだね!」
みたいなことを言っていたので、良い発想だね!と声をかけておきました。
彼の発言は予想を上回るんです。面白いんです。
ポーズをとりながら真剣な表情を狙いつつ進めましたが、
すぐに笑っちゃう彼のその表情もやっぱりすごく好きだな〜と考え、
予定変更。
絞りやシャッタースピードを緩め、光を調整しながら取り込み、
その表情を、そのまま西日の明るくあったかい色味の光に包んで撮影しようと思いました。
顔を上げて爆笑した瞬間。
西日が届いてキラキラとした前ボケも手前に写しながら、
彼の周りを暖かく、明るく、キラキラさせて。シャッターを切りました。
彼は「かっこよく」を希望していたので、
この写真が彼にとってどのように感じたかはわかりませんが、
私の中では彼らしさをつめ込んだ最高の瞬間だと思っています。
撮影中は彼の笑い声と、私たちの笑い声と、ママパパのツッコミが飛び交い。
賑やかな時間で、あっという間に過ぎて行きました。
ああ〜〜〜〜めちゃめちゃ楽しかったね!!!
そんな風に撮影が終わった後、くまちゃんと言葉を交わしました。
写真を見るモニターの時間。
スライドショーに流れる彼の様々な表情や姿に、
ママさんは静かに涙していました。
「やっぱり、全然表情が違う。大人になったな〜って思った。」
そんなママの隣で、おどけながら、少し照れるようにあははと笑う彼。
その後も賑やかな彼の姿に、
「さっきの涙を返せ!」とママに突っ込まれるところまでがワンセットでしたが(笑)
そんなご家族の姿を見ながら、
彼の成長の記録に、家族の思いに、
自分が携われたことを強く強く、心から嬉しく思いました。
彼はきっと大人になっても同じ表情であははって笑って。
家族を、周りを、明るくしてるんだろうな、と思います。
そしてもっともっと、どんどん大きくなって、大人になっても。
ライフスタジオの写真を振り返りながら、
色々思い出してもらえたら、笑ってもらえたら。嬉しいです。
先日、ライフスタジオの写真館の定義について討論をする機会がありました。
美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間。
美しいとは?思い出とは?楽しい空間とは?
そのために、自分たちができることはなんだろうか。
様々な話や意見が飛び交う中で、一番ライフスタジオらしさが含まれていると思った言葉の表現は、
「相手の思いに共感し、寄り添い、ともに作り上げていく」ことでした。
一人では成り立たない、
そこにいる人たち全員の思いが合わさって、重なって成り立つ時間や空間や、残る写真があって。
そしてその様々な思いが写真を通して残ることで、
未来に、変化していくものも、変わらないものも、届けることができるのだ、と考えます。
大切な思いや記憶を呼び起こするような、
そんな空間と、撮影の思い出、写真を残せるように。
丁寧に丁寧に日々を過ごし、出会いを大事にしていこう。
そしてできることの幅をもっともっと広げていこう。いかなきゃ。
そんな風に思います。
彼と再会し、彼のご家族と話し、その背中を見送りながら。
この仕事の意味を、ここでできることを、もう一度考えることができました。
ずっとずっと、永遠に、同じ仕事はできないかもしれない。
それでも、今こうしてこの場所でカメラを握っている間は、
こうして毎日の出会いに感謝しながら、まっすぐ向き合える自分でいたい、
そうしていこう、と強く思います。
おうちに飾っていある1歳からの彼の写真に、
今回の写真も一緒に並べられることでしょう。
そしてまた、小さ頃からの大切な記憶に家族みんなんで触れながら、
たくさんたくさん笑ってほしい、そう思います。
また会えますように。
またいっぱい一緒に笑い合えますように。
ありがとうございました!
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