Photogenic


横浜青葉店
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残したいもの

投稿日:2019/10/10

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Photo&Write by Misaki Nakagawa 

Cordi by Kaori Kobayashi

 

「どんな写真を撮りたいのか」

そんな質問はライフスタジオにいると、よく投げかけられます。

そのたびにいつも、言葉に詰まってしまう自分がいます。

私は、どんな写真が撮りたいのだろう。

 

どんな写真が撮りたいのかを考えていくと、

どんな写真が好きなのか、に繋がります。

そしてそれは、どんな撮影がしたいのかにも繋がっていきます。

 

どんな写真が撮りたい?と聞かれると悩んでしまう私ですが、

どんな撮影がしたい?と聞かれると、いつも、答えることはひとつです。

 

「楽しさを感じられる撮影がしたい」

 

こどもたちはどんなことに楽しさを感じるのでしょうか。

広いスタジオをバタバタと走りまわることが楽しい子。

モデルになりきって、次から次へとポーズを決めていくことが楽しい子。

自分の世界に没頭して、真剣になれることを楽しむ子。

私たちとの会話の中から楽しさを見つけてくれる子。

楽しいと感じる瞬間は、人それぞれです。

ひとりひとりの子に合わせた、楽しいを作ってあげること。

そのために、その子のことを理解しようとすること。

そんな撮影をしたいと思っています。

そんな撮影ができるように、毎日、1件1件の撮影に入っています。

そんな思いが少しでも、写真にも表れているといいなと思います。

 

 

ほのかさんの撮影を担当するのは2回目でした。

以前はコーディネーターとして撮影に入らせてもらっていました。

今回はカメラマンとして、はじめて彼女に向き合うことになりました。

 

2年前にあったときから、少しお姉さんになって、

終始穏やかに私たちに対峙してくれていた彼女。

 

10歳。

 

もう無邪気に走り回って遊ぶ、という年齢でもありません。

落ち着いた様子で私たちとお話をしてくれながら、ライフスタジオのベテランでもある彼女はニコニコと笑顔を見せてくれます。

大人の階段を登りつつある彼女が、笑い転げる…なんてことはやはりなかなかありません。

彼女はもうこの場所で撮られることになれているし、

きっと自分がどのように写るかということもよく知っています。

しょうもないことばかり言って、なんとかかんとか彼女の「楽しさで崩れる瞬間」を引き出そうとする私とこばちゃんにたまに困ったように笑いながら、時折ぷっと吹き出しながら、

穏やかに、でもどことなく楽し気に撮影は進んでいきます。

 

 

ご予約は最終の15時30分の枠。

時間は夕方になり、青葉店の2階には西日が入り込む時間でした。

青葉店の2階で、部屋の中央まで長く伸びてくる西日を利用した逆光の写真というのは、

たくさんの先輩たちによって多く撮られています。

西日を見ながら、いくつかのイメージが頭の中に浮かんできます。

今の、彼女と過ごす穏やかな時間を逆光の光を使いながら残してみよう。

 

どのように、と考えた時に、こばちゃんのことを撮影した1枚の写真を思い出しました。

青葉店では毎月一回、写真担当のなっちゃんによる写真の時間が設けられています。

その時その時、課題を設定しながら撮影練習をする時間なのですが、

以前に「被写体をイメージして撮る」という課題の際に、こばちゃんを撮影しました。

 

 

今回の写真とはシチュエーションは違いますが、この1枚が浮かびました。

この時のイメージは、こばちゃんの自然体を明るくとらえる。でした。

カメラを向けると構えてしまいがちなこばちゃん。

そんなこばちゃんの力が抜けた瞬間を残そう、と撮ったのがこの1枚でした。

力が抜ける様に寝っ転がってもらって、カメラは見ない。

写っていない所ではなっちゃんがひたすらにこばちゃんの足をくすぐってくれています。

 

 

『力が抜けた瞬間をとらえる』

写真を撮ることから少し意識が離れた、楽しい瞬間。

そんな、ほのかさんの一瞬を作ろう。

ポーズも、ニコニコの笑顔もとっても上手な彼女だからこそ、

楽しさで少し崩れた瞬間を残したい。

その思いはこばちゃんの撮影をしたときと、すこしかぶるものがありました。

 

こばちゃんと同じように寝転がってもらいました。

伸びた西日のあたたかいオレンジを背負いながら、少し目をつむってもらいます。

その瞬間の、その一瞬の表情にしっかりとポイントを持っていけるように、

表情以外の部分には薄く前ボケをかぶせます。

 

あとはどのようにして、彼女の楽しいを引き出そう。

同じようにこばちゃんにくすぐってもらおうかなぁ。

 

悩みながら彼女を見つめていると、重要なことに気が付きました。

寝ている設定なのに、眼鏡をかけている…。

これは不自然だ。

 

 

「ねぇ、ごめん、普通は寝る時って眼鏡って、外すよね・・・?」

 

なんとはなしに言った私の問いかけが、なぜか彼女のツボに入ります。

「いま?なんで???」と内心おどろきながら、

肩を揺らしながらくすくすと笑い始めた彼女をみて、急いでシャッターをきりました。

 

 

 

 

年齢が大きくなればなるほど、楽しい瞬間を作ることが難しいなと感じることがあります。

でもその瞬間を、その時間を作ることを諦めることなく動かなければと思います。

だからこそ、一瞬を逃すことなくしっかりととらえなければいけないなとも思います。

 

楽しかったと思ってもらえる一瞬の為に。

その瞬間を残す事の出来る、カメラマンになりたいと思います。

 

 

*saki

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