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新百合ヶ丘店
夏目漱石の‘心’
投稿日:2012/6/29
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恥ずかしい話だが日本にきて12年間、日本文学を読む機会があまりなかった。
率直に言ってみれば別に関心がなかった。
本箱に刺さっている数多くの本。
ふと、日本文学界の巨匠夏目漱石の‘心’が目に入ってきて本を持ち出した。
本は一気に読めた。
容易だったりおもしろくはないけれど文について行ってみるならばいつのまにかその心に陥ってどこかを迷っている。
何十年前に書かれた小説だが人間の心というものが何千年前からあったことで今も違うところがなくて時代を飛び越えて読むことになる。
極度に制限的な人間関係を有している大学生、‘私’が、鎌倉で知り合った先生を唯一従うことになって、その先生と作り出す関係を語る。
先生の顔にはいつも陰がある。
学者として能力を有しているようだが、職業がない。
その上外部活動もほとんどしないながら数人と共に孤独に生きていくが、夫人との関係もあまりよくないようである。
先生は何の秘密を有しているのだろうか?
お父さんが危篤で故郷へ降りて行った間‘私’は先生の遺書を受けることになる。
そしてあらわれる先生の過去の歴史…先生は裕福な環境で生まれたが、親戚がご両親の財産を横取りするとすぐに人間自体に対する不信を持つことになって絶望する。
その上自身と深い友情をわかちあったKを自身が残忍に裏切って、友人Kは自殺をすることになって、先生は一生の間罪悪感に苦しめられて、心を閉ざす。
“田舎の人は都市の人々よりかえって不道徳である。 そしてあなたは今あなた親戚ら中に特に悪い人はないようだといったがこの世の中に悪い人だと別に分類される人間がいると考えますか? 世の中に悪い人だと決まった人間はありません。 普段には全部善良な人々でしょう。 そうしたことが一瞬にして突然悪い人に変わるから恐ろしいことですね。 だから油断してはいけないという言葉です。”人間の心というのは本来そんなこととか理解しながら生きなければならないことなのかも分からない。
小説の中先生の奪われた心には結局、春がこなかった。
ひょっとして夏目漱石も晩年に人間に対する嫌気をおこしたという考えになる。
人間が状況によって悪人になるといったが結局そのように行動した後に幸せに暮らすことができなかったのでノコノコと生きやすくはないようだ。
自身の良心に邪魔になることも一生を苦痛受けたら量刑を払ったことではないかと思ったりもする。
人間の本性、孤独、良心と呵責に対する‘心’静かに時間をあけて読んでみるならば日本人たちの独特の思想と文化を跳び越える人間を見ることになって感じることになるだろう。
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