Photogenic
下関店
家族写真
投稿日:2019/4/20
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「生きているうちにできることがもっとある」
撮影をした写真をお客様とモニター時間に一緒に見ながらお話をしているときに、自分自身の口からぽろっと出てきた言葉。
自分のことは一番自分が分かっているようで、それでも気が付いていないこともまだまだあるような気もします。
だからこそ、誰かといるからこそ、誰かと話すからこそ
改めて自分自身の心に気が付くこともあります。
生きているうちに。
その気持ちが、今いちばん強くあるかもしれません。
「元気なうちになんで手をにぎったりもっと話したりしなかったんだろう」
そう後悔している身近な人の姿を目の当たりにしたことや、
大切な人との突然の別れの中で、わたし自身も後悔を抱えたことがありました。
あれから4年。
「大切な人と過ごす場所」と定義し写真を残すことを仕事としながら強く想うのは、
誰と生きてきたのか、その実感を残していくことでもありました。
写真はもう、いつでもどこでも撮れるものになりました。
どこに行ったかの記録にもなり、
なにをしたか、誰と会ったか、なにを食べたか、すべてを残すこともできます。
年々増えていく写真の中に、何枚、家族揃っての写真があるのか、
そう振り返ってみると、小さな頃にはあった写真が、びっくりするくらいありません。
なかなか会えない。なかなか集まれない。
なかなか、写真館で撮ろうと思わなかった。
そう言いながらも、この場所へ足を運んでくださる方もいます。
記念日でも記念日でなくても
それぞれの家族にそれぞれの理由があって
この場所で出会えていること。
何を考えているのか。
何を大切にしているのか。
知っているようで知らなかったこと。
見えてくるもの。
家族だけでは話さないような些細なことでも、ちょっとだけ聞いてみる。
忘れていたようなことを思い出せる。
そんな小さなきっかけになれるように。
この場所があるからこそ何ができるのか。
残らなかったような写真を残した先にあるものをいつも想像しながら。
2019年 写真展より
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下関店はライフスタジオでいちばん小さなお店でもあります。
小さいけれど、ポジティブに捉えればどこでも声が届くし、目も届くし、掃除もしやすいお店でもあります。
そしてなにより、1組1組の家族の空気感でスタジオがいっぱいになる瞬間を感じられます。
ご紹介で来てくださったこのご家族は、もともと昨年の写真展にも見に来てくださって、その時からずっと撮影をご検討くださっており、なかなかみんなで写真を撮ることもなくなったけどいつか撮りたいとおっしゃってくださっていました。
そして撮影のずいぶん前から東京に住むご家族や福岡に住むご家族などスケジュール調整をしてくださりご来店くださることになったのですが、ご予約の段階で人数を聞いてすぐ「スタジオがかなり狭いのでギュウギュウになるかと思います・・・!」とお伝えしていました。
実際ご来店した時も、お友達の写真を見ていた時には分からなかったけど思ったより狭かったんですね、大人数ですみません~なんて13名でスタート。
どうしてもお仕事で来れなかったおにいちゃんは、アイドルのようにうちわで参加するという愛情たっぷりのご家族でした。
家族写真のノウハウだけでなく、大人の集合写真撮影のノウハウも必要となる中で、経験と学習をフル稼働させながらも、この空間の中で13名を最初から全員で撮るというのはひとりひとり緊張感も違うだろうし順序的には、ひとつひとつの関係を紐解きながら少しずつ組み立てていく形が最善であると考え撮影をはじめました。
3世代の中でのスタートである、母と娘の2ショットからはじめ、母とこども3人の4ショット、こども3人それぞれの家族写真、おばあちゃんとお孫さんのショットなど、ひとつひとつの関係性の中でのエピソードも伺いながら、ひとりひとりのポイントを確認しながら、一通りひとりひとりの緊張がほぐれたようにも思った頃合いに13人大集合写真を撮影しました。
下関店に来た人なら想像つくかもしれませんが、あの小さなホリゾントにぎゅうぎゅうです。
でも、このぎゅうぎゅうが、なんだかしっくりするご家族でした。
ひとつひとつの関係の撮影を順序だててやったからこそ家族の形が見えてくるようで、13人集まっても一体感があり、撮影者として普段からただ目線をもらって、笑ってください、という言葉は言わずに雰囲気を作っていくことを念頭に入れている中でどうしようか考えながらも、一緒に過ごす中でわたしたちも笑いつつ、それぞれの笑顔も、緊張も、少しぎこちなさも、ひとりひとりの姿が一体となってひとつの家族の姿になっていました。
撮影が終われば、おのおのそれぞれに、休憩しながらお喋りをしたり、ギターを弾いたり、昼寝をしたり・・・
スタジオがスタジオというより家族の空間になっていること。
それがとても嬉しいです。
大切な人と過ごす場所として、その場所の中で感じられることを写真で伝えられるように。
ちょうど1年前の春、Lee社長のblogに以下のような文章がありました。
写真は、人と人が真に出会った時に作られる。
予約、損益分岐点、各種割引として代表されるマーケティング、無理に設定された撮影スケジュールは、写真の真の役割を縮こめ、平凡な事業行為へと転落させる。
多くの写真館の社長もその範囲から離れない。
いつだったか、こんな話をしたことがある。
[写真館を国家機関として指定し、福祉の次元で国民に撮影権を配り、日常的に美しさを表現し楽しい思い出を記録したらよいじゃないか?憲法に明示された国民の幸福追求権の保障として、これに勝るものはあるだろうか?撮影者は金銭的な関係ではなく、真に人と出会い撮影を行う時が一番かっこいい]
この世界にどれくらい写真館という形態のビジネスがあるか分からないくらい多いだろうし、それこそ価値観がそれぞれだと思いますが、色々な写真館や写真にまつわるスタジオのHPをたくさん見ては、なぜか悔しいけれどLee社長の文章に目が留まってしまう自分がいます。
福祉としての写真。
そういう視点で考えたときに、わたし自身は写真館の役割が社会の中で役に立てることがあると確信をもって言えるからこそ、写真というそのものが本来なにかビジネスではなく越えていくためのひとつになり得ると考えます。
まだそこまでにたどり着いてはいませんが、下関でひとつひとつ着実に大切なことを確認しながら地道に進む中で【写真の真の役割】というもの提示していけるようにしていきたいです。
shimonoseki
kawano yoh
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