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【 とある1小節の世界。】

投稿日:2022/2/20     更新日:2022/2/21

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小さい頃から本が好きでした。 

本が好きというか、非現実な空間や、体験できないような出来事、日常の瞬間を考えるのが好きでした。 

 

本はそれらを体験させてくれる。 

結果、本が好きだったのかもしれません。 

 

本の中の私は主人公で、脇役で、魔王で、ヒロインでした。 

 

この考えという視覚化できない事柄が今も私に力を貸してくれます。 

 

 

 

私は写真撮影する際に物語を作ることを意識しています。 

この物語というのは「ハリーポッター」のようなドキドキとワクワクの長編小説ではなく、星新一作品より、もっとずっと短い物語。 

 

むしろ物語と言っていいものか。 

実際そこまで深く起承転結を考えているわけでもなく、ただ被写体とインテリアと光源をみて脳内で短編小説の舞台を作るような。 

昔読んだ、とある小説で「キーワードを3つ使い小説を書きなさいという」という内容があり、主人公は3つの単語をうまく使い、夏に飲むサイダーのような爽やかな小説を書いたり、時には 青汁にピーマンとコーヒーを混ぜたのような後味の悪い小説を書いたりしていた。 

 

私はJ・K・ローリングみたいに文章は上手く無いし、宮沢賢治のような世界観を作ることはできず、赤ちゃん並みに語彙力はない。 

あるとすればデカい態度くらいだ。 

 

それとは別として私でも短編小説の、それもとある章のほんの1小節の舞台を作る程度のことならなんとかできる思っている。 

 

 

この舞台を作るのに大事なのが先ほども出てきた3つのキーワード。 

それは「誰が」「どこで」「〇〇」という事。 

 

正直、前二つのキーワードはおのずと出来上がります。 

どのような衣装を着ている被写体でそこにあう場所はどこだろう。 

写真の統一感を作るために誰しも考えること。 

 

この写真に当てはめてみると一つ目で「小さな女の子(誰が)」、二つ目で「書斎(どこで)」が決まりましたら 

三つ目「○○」がポイントです。 

 

ここでの行動や思考で露出やレンズ選び、画角、小物など写真を構成する要素が変わってきます。 

 

今回の三つ目のキーワードは「憧れ」。 

まず前提としてこのキーワードは被写体と関係すものではないといけません。 

ここで関係のないものをキーワードとして出すことは可能かもしれませんが写真に対して説得力がなく少なくとも舞台を作ることなどできない。 

 

今回の被写体を見てみると、小さな女の子がシンデレラのドレスを着てる。 

 

この小さな女の子の夢はプリンセス。 

ディズニーの中のキラキラとした華やかで夢のある世界に憧れていました。 

 

そういった内面的情緒を考えて3つ目のキーワードを「憧れ」に選択したわけです。 

 

3つキーワードが決まったらあとは小物やライティングを選び小説の舞台を作り上げます。 

 

憧れを表現するために手には小さな手鏡を。 

被写体だけに光が当たるように、自然光ではなく光の拡散を抑えられるライトを。 

顔の輪郭にでる光の筋が絵的に、空間とカメラの間に特殊フィルムをかましライトの光を滲ませより写真を劇的に表現できます。 

 

まるで自身が作中の主人公みたいな空間の中で、プリンセスに憧れた小さな女の子は自分の姿をみて何を思うのだろう。 

 

いろいろな想像はできますが 

それこそ次の章でのお話かもしれませんね。 

 

 

photo by Nihei      

 coordinate by Matsu

written by Nihei 

 

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