Photogenic
水戸店
君と見つける影
投稿日:2019/9/25
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「君と見つける影」
モノクロ写真は、明暗のバランスを見極め、明るくなりすぎず潰れすぎずが大切だ。カラーで見える世界において、色彩情報をいったんシャットダウンして、その明暗バランスを見つけるのは、なにか宝探しをしている感覚なんだと思う。
あの日、あれやこれやと撮影が進む中、コーディネーターのかずくんが、その子のためにアレンジしてくれた、黒ジャケット。それが宝探しのきっかけだった。
ベースとなっていた服は、透け感のあるレース服に、色の締まる黒パンツ。
当初、撮影場所は1階の白ホリゾンを使っていた。シンプルな背景と明るい雰囲気で、人物を際立たせた表現をするための場所だ。そして、案外どんな服にもあう格好の場所でもある。
そこにきて、かずくんの絶妙なアレンジが入り、さて同じ場所で撮るには、忍びない。
服のイメージはハードボイルド(といっても彼女の醸し出す雰囲気はとても柔らかいが)だったので、背景には1階ドア横の、濃い緑の壁を使うことにした。
その日は確か晴れ。まっすぐな光が差し込むスタジオ内。そんなときは、窓際の光は決まって硬く(と表現するらしい)、ドアから差し込む光も強く壁を照らしていた。
壁に背をつけて立つとき、ドアからの光はサイド光となって、人物の顔の輪郭を際立たせてくれる。ドアを開ければ全身に満遍なくあたる光となるが、あえてドアは閉じたまま、顔と上半身だけに光をあて、下方にきれいなグラデーションとなるようアレンジ。
最後は余計な光を排除するため、1階のすべての明かりを消し、ほかの窓から入る光を遮る処置もした。
さぁ、あとは一緒に撮影するだけだ。
アンダーになるようにカメラ設定。露出は顔に合わせてポーズを変えていく。
ふと、下を向いてくれたその時、横にいた、かずくんが壁に映った影を指してくれた。
「モノクロがきれいだよ」
すかさず、シャッターを切る。僕には見えていなかった影が彼に見えていた。あぁ、モノクロを発見する感覚ってこういうものなんだなぁと。
そんなことを思った、この一枚。ありがとう。
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