Photogenic
水戸店
【 安定感の表現。】
投稿日:2019/1/20
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写真においてバランスというのはとても大事です。
それが引きの写真の場合は、最重要ポイントになります。
いくらポーズが良くても、光が良くても、バランスが崩れるとものすごくクオリティが下がります。
逆にいえば、バランスとある程度光とかが良ければ安定した一枚になるのです。
75カットにおいてこの安定した一枚というのはとても大事で、お客様の満足度にとても繋がります。
つまり、決めの一枚ですね。
バランスがいい写真というのは、誰が見てもいい写真と思います。
それは、人間が持っている美意識がそれを「綺麗」と自然に認識するのです。
それは、イルミネーションや夜景、夕暮れを見て「綺麗」と思うのと一緒です。
人間の美意識がそれに反応しているからそう思うのです。
写真というのは、いかに人間の美意識に触れられるかだと僕は思っています。
写真の勉強してる人の美意識だけではなく、それ以外の人の美意識にどれだけ反応してもらえるか。
そのための日々の努力だと思います。
美意識というのは、人間必ずしも持っているものです。
人それぞれだけど、共通しているものがある。
面白いですね。
今回の写真、ポーズはすごくいいですよね。
和装にとても合う正座。
それを正面で座ってもらわずにあえて横向きに座ってもらう。
横向きに座ってもらうことで三角形ができます。
頭の中にはこの時にすでにクマのぬいぐるみを持ってもらうイメージがありました。
その小物を生かすための横向きです。
この時に、正面を向いて座ってもらうと、クマのぬいぐるみの顔が見えなくなってしまいます。
ぬいぐるみを持って貰ったらこちらからこう問いかけました。
「そのぬいぐるみの目の色は何色かな?」
そうすることにより、その子は目をみようとする動作をします。
これが狙いです。
この子、ご来店された時からものすごく笑顔、いやテンションがMAXでした。
普通、3歳というと緊張で固まってしまう子や、ママからはなれられない子、泣いてしまう子などが多いです。
しかしこの子は、着物に着替えてもボケるボケる。
いつもなら、コーディや僕がボケて子供がツッコみを入れているのが、こっちがツッコむ側になってしまうほどのボケの量。
笑顔の写真しか残せていませんでした。
普段ならそれはもう最高です。笑わせるために二人一組で組んでいます。
逆に僕は最高の笑顔だけではない写真を撮りたくなりました。
そのための先ほどの問いです。
クマの目を見るという動作に集中する瞬間に先ほどの笑顔から、探るような表情になります。
狙いは完璧でした。
さらにあえてカメラ目線を外すことにより、彼女の内面性を、見る側が考えられます。
その子の表情と、クマの表情。
その子が一体何を考えているのかをこの問いを知らない第三者が、この写真を見て何を思うかを表現したったのです。
さらに今回、このクマを持ってもらった他にも理由がいくつかあります。
被写体の可愛さを倍増させる。
今回の被写体は3歳女の子。
正直、そこにいてちょこんと座るだけでも可愛いが溢れます。
今現在が100可愛いポイントです。
それを、さらに、ものすごく可愛くしたい。
カメラマンでは無くても、誰もが思う事ですよね。
それがこのクマを選んだ理由です。
まずクマさんが可愛い。
しかもピンク色のクマさん。可愛い。
この時点で80可愛いポイントです。なかなかいいですね。
しかもこのクマ、小さいのです。
これは可愛い。
小さくてピンクのクマさん。もう100可愛いポイント。
それを100可愛いポイントの女の子に持ってもらいことでこういう式が成り立ちます。
100可愛い被写体+100可愛いクマさん=300可愛いクマさんを持った被写体
計算がおかしいわけじゃありません。
そうです。二つを合わせることにより、さらに可愛いポイントが追加で加算されるのです。
ボーナスポイント。
しかも、300可愛い被写体を今回、大胆に引きで撮るという方法を選びました。
横位置アップで撮っても300可愛いポイントですので、決めの写真にはなります。
しかしもっと写真のクオリティを上げるのに必要なのがバランスなのです。
今回、バランスが最重要といっているのに、出てくるのが遅くてすいません。
引きの写真というのは構図が大事です。
構図を良くするために被写体の位置、カメラマンの位置、カメラのアイポイントの位置を決めなくてはなりません。
構図
人が美しいと思う構図。今回は黄金螺旋です。
有名なのはダヴィンチ作の「モナリザ」とかですね。
それに当てはめることで、ある程度のバランスを作ります。
逆に言うと、ここで構図が決めきれないとバランスはなくなり中途半端になります。
中途半端にならないために、先ほど挙げた、被写体の位置やカメラの位置などが重要になります。
今回の場合は、右下に被写体を右向きに配置。
僕が被写体の逆光にくる位置に移動し、カメラアイポイントをだいたい被写体の位置にしました。
アイポイントを被写体の高さと同じにすることにより、黄金螺旋を作りやすくします。
(黄金螺旋の図)
さらにこの場所、とても線が多いです。
後ろの長窓であったり、畳の線、左のドアの線があります。
こういった線の多い場所では例外をのぞいて垂直水平を意識しないといけません。
例えば線が斜めに向いていたり、レンズを70mm~以上にしないで線が歪んでいたりすると、一気にバランスが崩れます。
構図で作ったバランスが無駄になってしますのです。
前ボケ
今回、この子が選んだお着物は、黒のお着物になります。
右側が少し重い印象を受け前ボケにキラキラの玉ボケを入れました。
前ボケの入れる量も大事です。
横一面入れることも考えましたが、それだと左側にある和室の小物にかかり、小物が作る遠近感を弱くしてしまう恐れがあります。
それを注意して少ない範囲の前ボケを写真に入れました。
キラキラ前ボケで左右のバランスをとりつつ、濃い色の前ボケを少し入れ遠近感を出し、この子の抽象的なポージングを覗いているように見せ被写体を引き立てるようにしました。
僕の引きの写真は絵のような写真が目標です。
絵というのは、ゼロから描くもので有名な絵画や、美しいと思う絵は全てのバランスが統一され、計算され尽くされています。
それを写真という、自分の意思だけではなく、被写体という意思がある中いかに絵画のような、バランスが良く、計算された一枚になるようこれからも努力して行きたいです。
全てはお客様のために。
photo by Nihei
coordinate by Kazuki
written by Nihei
Mito
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