少年よ。

少年は今、何を見つめ何を考えているのだろうか。

私は被写体の少年の今何を想っているのか読み取る事は出来ない。   

だがしかし少年の姿を「写真」という形で残す事は出来る。

 

生まれた時を覚えているだろうか。

私は覚えていない。

兄として産まれ沢山の愛を降り注いで貰った時の思い出は覚えているだろうか。

私は覚えている。そして彼もまだ若い。きっと覚えているはずだろう。

 

少年が数年前の事を覚えているのは理解できる。

でもなぜ私も約20年ほど前の昔の思い出が鮮明に頭に残っているのだろう。

 

実際に私がこの世に産まれ22年。

まるっきり22年覚えていたのかと問われたらそうではない。

 

私が産まれた瞬間は記憶には無いが沢山愛情を降り注いで貰った時の思い出は断片的ではあるが未だに色褪せず鮮明に覚えている。

 

それは何故か。

「写真」を見て記憶がフラッシュバックしたからだ。

フラッシュバックした時の衝撃は今でも忘れない。

私が丁度、被写体の少年と同じ頃だろうか。

家族のアルバムを何気なく見た途端に蘇ったのだ。

写真に写っている自分が撮られている瞬間の会話、自分当時の感情まで一気に脳を駆け巡った。

 

私はその時の衝撃が忘れられない。

「写真」が今と昔を繋いだのだ。

 

だから君も家族に愛されていた事を決して忘れないで欲しい。

これからどんどん大きくなるに連れて気持ちの変化が訪れる時もあるだろう。

そんな時は家族みんなで集まり１つのアルバムを眺めてみるといいよ。

懐かしいとの声と共に何か想うものがあればいいな。

 

〜分析〜

兄妹写真の際の準備中にふと彼にカメラを向けました。

するとそこには嬉しそうにこっそりとポージングする彼がいました。

はじめは「え～これ着るの～？！」と少し嫌そうだった彼。

ですが実はノリノリだったんだね。

その後シーンが進んでいくに連れ妹に対する愛情が溢れている様子が見えてそこには「お兄ちゃん」としての彼がいました。

 

ソロで撮る際にメイクルームを使用。

窓から入る光を利用し撮影いたしました。

何故モノクロなのかと言いますと

全体的に暗めのメイクルームに入る光を利用して光が差す方を見つめて貰い被写体の印象をグッと強くする為。

 

 

そしてもう１つ。

いつまでも色褪せないという意味も込めてのモノクロで撮影いたしました。

 

カラーで撮る際色味がごちゃつく理由でのモノクロの使い方もありますがそういった理由ではなく上記の理由でモノクロで撮影致しました。

 

私が「写真」で様々な事を思い出したというきっかけの1枚は親が撮ってくれたモノクロの写真で並木道を歩く私でした。

 

その写真を見た時は当時小さい足（確かネイビーの靴）で枯れた葉っぱの上を歩いた時の記憶が鮮明に蘇ってきたのでとても衝撃的でした。

 

こんな風に彼も大きくなった時に写真をまた見て何か想ってくれればいいな。

 

photo by Kazuki 

Coordinator by Toshi & Mikiko