ぎゅっと握られたまあるい手。

チャームポイントの前髪。

沈み込んだクッションから感じる彼の重さ。

そして

彼の今精一杯の仕草。

それを収めたいと思った。

 

 

まだ2ヶ月にもなってない小さな命。

でもしっかり首を上げて、こちらを見ていた。

まだはっきりと見えないんだろうけど、じっと見つめていた。

この時、彼の動きをじっと見守った。

自分の口元にあたった腕をあむあむし始める。

その瞬間、はっと息を止めてシャッターを切ったのを覚えている。

「なんて美しいんだろう」そう思った。

 

時をもしとめられるのであれば、このままであってほしい…

親なら幸せな瞬間、誰しもが思うことかもしれない。

彼の成長は止まることがないし、戻すことはできない。

だからこそ、今を生きるすべてのものが美しいのだと思う。

 

この日だったか、家に帰ってただ子どもをぎゅーっと抱きしめたいと思った。

そんなことが、いつかはできなくなるということに気づいた。

だからしっかり抱きしめたいと思った。

今を生きるすべての命を。

必要ないものは何もないと強く思いたい。