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Title.13 美しい昼下がり
投稿日:2020/2/29
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大宮店のリビングと呼ばれるインテリア。
壁や床、そして天井まで丁寧に板が張られ、そのウッディな色合いが温かさを感じさせる。
大きな出窓からは、日差しを受けてキラキラ輝く木の葉が見える。
その手前に置かれている緑のソファー。
時々同じものを持ってますという話を聞くと何だか嬉しく感じてしまう。
この写真では見えないが右側にはテラスへと続く開き戸があり、そこから明るい光が降り注ぐ。
時に強く、時に優しく…晴れている時も、曇りの時も。
雨の時さえも温かさがここにある。
このインテリアの特徴は一年を通して、
そして、一日の中でも様々な表情を見せてくれる空間ということ。
この一枚を撮ったのは爽やかに晴れた日の昼下がり。
生まれてから髪の毛を3回も切ったという1歳の女の子。
ラウンドカットされた丸みのある髪型が印象的で。
そして、驚いたり、嬉しくなると鼻の下が伸びて、ほ〜という口をするのが可愛くて仕方が無かった。
その彼女が嬉しそうに手を伸ばして、リンゴを口に運んだ、その瞬間。
いいなと思う理由を探してみると、
この一枚には、様々なものがバランスよく収められているところだと思った。
左側の出窓とソファー、右下の女の子の位置も写真内でどちらかに重さが偏ることなく
バランスをとるように配置されている。
窓からは強く光が差し込んでいるが、日よけを半分下ろすことで光が柔らかくなり、その光が彼女を包み込んでいる。
光を受けて、果物はよりつややかに。彼女の白い肌はより柔らかく。
すきまからこぼれた光がソファーの一部を照らしている。
斜めに差し込んだその光の角度は太陽の位置を私達に教えてくれる。
「日々是好日」という映画を観た。平凡な女子大生が茶道の世界に入ってからの20年間。
黒木華と先生役の樹木希林が演じている。
私自身も高校生のとき、友達の誘いで半学期ほど茶道を習ったことがある。
その経験があったので、この映画に興味を持った。
映画中にこんな話が出る。
『一生に一度、同じ席は二度とない。』
『その時代、一度別れたら次いつ会えるかどうかわからない時代だったんじゃない?』
千利休がお茶を大成したのは戦国時代。
だから、一期一会のその席、真剣にお茶を立てるというのだ。
精神を集中し、感覚を研ぎすまし、その音、温度、香り、色、手触り、味…
そして、感じるその瞬間の精神の高まり。
人と共にお茶をたて飲む。ただそれだけだけど、それだけでない。
不思議で、すぐにはわからない世界のようだ。
お茶を通して、感じる見つめる世界はどんな時も美しいと悟る。
正に、日々是好日なのだ。
私も写真というものに出会い、写真を通して世界を私は見つめるようになった。
一枚にその世界を再構築するのだ。
お茶と写真、全く違うようで、その空間をつくる感覚は方法は違えど、同じなのかもしれない。
「こうして毎年同じことができることが幸せなんだって」
樹木希林さんが映画の最後で語った一言だ。
観終わったあと、彼女の遺作だということを知った。
まだわからないことだらけの自分ができるのは、
この世界の美しさを一枚に残すことに尽力すること。
ずっと変わらず、ここにあってくれるこの空間。
私が何よりも好きなこの空間。
変わりゆく瞬間、美しいと思うその瞬間を残す。
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