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写真家『ソール・ライター』から学ぶ!
投稿日:2018/6/30
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《足跡》 1950年頃
「わたしたちが見るものすべてが写真になる」
日常で見落とされてしまうような一瞬のきらめきを、天性の色彩感覚で捉え、
「カラー写真のパイオニア」と呼ばれていたソール・ライター。
1950年代にニューヨークでファッション・カメラマンとして活躍しながら、1980年代に商業写真から退き、世間から姿を消した。写真界でソール・ライターが再び脚光を浴びるきっかけとなったのが、2006年にドイツのシュタイデル社によって出版された作品集だった。時に、ソール・ライター83歳。
《シャツ》 1948年
I take photographs in my neighborhood.
I think that mysterious things happen in familiar places.
We don’t always need to run to the other end of the world.
私が写真を撮るのは自宅の周辺だ。
神秘的なことは馴染み深い場所で起きると思っている。
なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ。
《床屋》 1956年
今回、ソール・ライターの写真集を手に取る機会があり、
彼の写真に魅了されてしまった。
カラーポジフィルムでニューヨークをスナップした写真が彼の代名詞だという。
当時としては、技術的な問題もあり、カラー写真はアートの世界では主流ではなかったが、
彼がカラーにこだわってのは、本当に残したいもの、色の美しさを残すという信念を貫いていたからなのだろう。
斬新な構図と、計算されたような配置、鮮やかに映し出されたカラー。
半世紀以上も前に撮られた瞬間が残されていると思うと不思議な感覚だ。
人は時々過去の記憶に触れ、その哀愁をしみじみ感じたくなる時がある。
ソール・ライターの写真はそんな感覚を呼び起こすようだと感じた。
彼は決して美しいモデルを撮ることにはこだわらなかったという。
それよりも、働いている人や通り過ぎる人、彼らがそこに存在する価値を表現しようとしているのを感じた。
何てことない日常から彼は『美』を見つけ出し、それを表現し続けた。
I have a great respect for people who do nothing.
私が大きな敬意を払うのは、何にもしていない人たちだ。
The important thing in life is not what you get
but what you throw out.
肝心なのは
何を手に入れるかじゃなくて
何を捨てるかなんだ。
彼が残した言葉からも彼の信念が感じられる。
彼はもともとユダヤ教のラビの息子であり、将来は宗教指導者となることを期待されていた立場だった。
そんな彼が反対を押し切り、ニューヨークで写真家となった。
彼が有名になるチャンスをわざと遠ざけていたのは、
特に父親の期待に背いたという思いが影響していたのではないかと知られている。
それだからか、彼の写真からは宗教性が含まれているようにも見える。
見る私たちに何かを訴えるようだ。
更に彼が日本の禅にも興味を持っていたというから、精神性を重要視していたのだとわかる。
彼の写真は、彼の世界の見方であり、彼の生き方なのだ。
「写真を見る人への写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時々提示することだ」
先日ライフスタジオの写真は商業写真なのか?芸術写真なのか?記録写真なのか?という話しをスタッフでした。
私は安易かもしれないが、どれにも当てはまるのがライフスタジオの写真ではないかと考える。
ライフスタジオが求める写真は、我々の存在の証明であり、自然体であり、そして美しい写真だ。
「重要なのは、どこで見たとか、何を見たかということではなく、どのように見たかということだ」
ソール・ライターが言っているように、
私たちがこの世界をどう見ようとするかによって、写真は大きく変わる。
私たちが見る美しい世界を残す。それが私たちのやるべきことなのだ。
彼の写真に影響を受け、自分の写真をもう一度つくりあげていかなくてはと思った。
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