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彼だけの物語

投稿日:2015/3/31

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イメージカットとは何だろうか?
 

主に視線が無い写真をイメージカットということが多い。

目線があるとどうしてイメージカットとは違うような気がするのだろうか。

 

この写真の少年がこっちを見つめていたらどうだろうか?

こちらに目線を向けているということは、

少年が彼を見ている何かの存在を認識しているということが明確である。

声をかけられたのかもしれない。何か物音が聞こえたのかもしれない。

どちらにしても、目線がある写真は、被写体と被写体を見つめている存在との関係性が出てくる

 

一方、目線が無い写真はどうだろうか。

被写体が存在することが、写真のメインになっている。

だれかの意図ではなく、被写体の意志で存在し、行動しているかのようだ。

そこには、こちらが彼に介入する必要は無い。

 

誰かの意図よりも、被写体の存在自体に目がいく写真。

これがイメージカットではないか。

 

視線がないことで、被写体だけの物語が存在するような一枚になると思う。

彼が持っている意志が見える瞬間。

 

余白であったり、彼の目線の先であったり、

ぼやけた背景や、グラデーションのかかった床の明暗であったり、

写真の構成要素が彼の物語を膨らませる。

 

何かをずっと探していた少年は、

はっとしゃがみ込む。

彼の足元にある双眼鏡が、何かを探していたということを暗示する。

彼は気づいたのかもしれない。

彼が探していたものは、一番近いところに在ったのかもしれないということを。

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