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心から感じること
投稿日:2014/9/16
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この子は人の顔をよく見る子だった。
じっと見つめてくる瞳を前にして、私はこの子を笑わせようと必死だった。
「喜ばせたい」彼女と心が通じ合ったように感じた瞬間、
彼女はほほえんだのだ。
優しく、そして柔らかく。
モニターでこの写真を見た瞬間、
この写真が映し出す彼女の表情の中に暖かく愛おしい何かを感じ、泣きそうになった。
この微笑みに偽りはないと感じたからだ。
私たちが本当に写したいのは、作られた美しさではなく、
本当の美なのだと。
本当のとは何だろうか。
何が美しさを感じさせるのだろうか。
この写真のどこに美しさを感じたのだろうか。
一つは色である。
彼女を包み込むような空気の色、彼女の柔らかい肌の色と光が調和している。
新芽のような柔らかい色も加わり、
暖かく、優しい色が生み出されている。
この写真を見ていると、
彼女のほほえみがその場の空気を一瞬にして染めたように見えるのだ。
つくられたものではなく、本来持っている彼女の色がにじみでてきたように。
そして、表情だ。
彼女が見つめているのはなんだろうか。
ほほえみの先にあるのはなんだろうか。
それを映し出そうとする彼女の黒い瞳。
満面の笑みではないが、光を含んだ美しい瞳に引きつけられる。
柔らかい空気の中で彼女の瞳はひと際、存在感がある。
構図はどのようにも変えられたかもしれない。
どうしても、彼女の瞳に視線は引きつけられる。
彼女の持った美しさに。
「写真を撮るということは、絵画を描くようなものだ。」
最近よく教わる言葉だ。
光、構図、色彩…様々なことを一瞬で造り出し、捉えて写すという芸術。
技術はもちろん重要である。
でも一番大切なのは「何を何のために」であると感じる。
どんなに美しく作られた写真でもそこに心が無くては味気ないものとなってしまうだろう。
被写体が持っている輝く何かには、
どんなに綺麗な飾り物にも代えられない本当の美しさがある。
それを写すことのできる自分にならなくてはならないと
心から感じるのだ。
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