新しい遭遇「アマレット」
 
ライフスタジオ出身の「マリさん」については、1年に1、2回聞くくらいの情報があった。
そんなある日、「豊川ってどこだ？」、「神社の周りにあるショッピング街？観光地？」、「アマレット？酒？」。このように気になることが増え始めてきた頃、豊川にある「稲荷」神社商店街の中に、「アマレット」という名前のスタジオをオープンするため、李社長を主体としインテリアが始まった。
 
インテリアのセッティングのために、豊川へ先に行ってみなければいけないため、3泊4日のスケジュールを決めた。久しぶりに乗った新幹線はただ良かった。走る列車の中、人が多くない列車の中の静けさが心を沈めてくれた。旅行が好きだが、人見知りが激しく、臆病な私は、新しい人や空間の出会いについてドキドキすることが大きい。一方では、慣れていない新しいものを目にやきつけようと、瞳孔が速く動いたりもする。日本旅行は、日本に住み始めた時から立てていた計画だが、まだ実践できずにいる。もう一度地図を開き、目的と目標を決めて実行しなければ。島旅行、美術館旅行、グルメ旅行等のテーマを決定しなければならない。


 
夕方の時間に到着した豊川駅からスタジオまで入る道は、稲荷神社周辺の商店街らしくキツネの姿（稲荷神）がたくさんあった。事実、来る前までは、神社の名前を正確に覚えておらず、知識も持っていなかった。次の日に見たスタジオの近くは、予想とは違っていたものの、豊川にある「稲荷神社」は思ったより有名な神社であった。
 
泊まる部屋がある場所は住宅街。あまりにもきちんとした町。日本で行ったことのある（数少ないけれど）郊外の田舎の町の印象は、いつも意外だが、今はちょっと慣れたものの、近所周辺や家が東京と比べ、どれだけすっきりしていて綺麗なことだろう。車に乗って15分ほど離れた場所に行けば、田畑のすぐ隣にプロヴァンス式のレストランが見えてくる。低い空と黄色い畑、緑の葉と茶色の屋根は、童話に出てくるお菓子の家を連想させる。愛知県の豊田地域は、若い世代と子供たちが多いというが、トヨタの工場があるからだという言葉も理解できる。ステーキハウスやピザ店に若い人たちがひときわたくさんいた理由が繋がる。




 
アマレットは、李社長の香りが漂うスタジオである。今までの作業まではそうだ。40日間滞在し、2ヶ月という約束された期間を、時間に関係なく、工房での自由な魂のように木一つ一つを切り、塗って合わせながら完成させている空間である。低い天井に長い面積が適切に分かれており、その中にライフスタジオと社長の手が加えられ、こじんまりとして穏やかで暖かい香りを漂わせている。朝コーヒー一杯を飲みながら、「私はインテリアするのが面白い。なぜなら...」と明るく話す素朴な姿がアマレットのインテリアにそのまま溶けているようである。





 
そして、豊川と共に出会った新しい縁「マリさん」。
今まで出会った印象を一言にすると「強くかわいいまりちゃん」と言えるだろう。私とは別の強さと愛嬌が交差する人に見えた。10月末に会うまりさんはどんな姿だろうか、またアマレットはどんな姿になるのか気になり期待している。



 
歳月が流れ、外国に住みながら多くの人々ではないものの、穏やかで静かに、私とは違う姿の人々と遭遇する。様々な出来事を通して、環境であれ人であれ。ゆっくり歩む私はこれからどれだけ多くの新しさと出会うことになるかは分からない。ただ一度だけ流れるかもしれず、ぐっと深い関係になることもあるかもしれない。逆に、既存に存在している人々と条件を、どのように関係を維持していくことができるのかまだ分からない。そのように、私を中心に、私と関係するすべての事は、過去も未来も持続して変化するだろう。そうなると、私がどこでどのように中心を持っているかによって、吸収することも切れてしまうこともあるだろう。重要なのは何だろうか？答えは一つ。「私は私らしく」が重要だ。「私らしいとは何か？」それも私の答えは一つ。「堂々と生きていくこと。」私が私を最もよく知っている私に、私と連結している社会に、そして何とか紐をつなげている人達に私らしさで堂々と生きることが、私にとって価値あるように生きていく答えだ。