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青山店
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写真分析~光だなー。~ 

投稿日:2018/3/20

1729 2

Yokohamaaoba 

Photo:gomei 

Codi:Misaki Nakagawa 


 

彼女の第一印象は、恥ずかしがって一言も話さない女の子でした。 

初めて会って15分程度は私のどうしようもないような小話に会釈と愛想笑いをしてくれる程度のコミュニケーションです。 

 

カウンセリングの時間はお互いの為にも有益な時間にしなくてはなりません、私たちの行っている撮影は商業撮影の媒体でありながらも、ポートレート撮影に限りなく近い要素を持っているため、これから被写体となる「人」の部分を知り得ていくことが良い写真へつながっていくからです。良い写真とは、ここでは彼女を表す写真とします。 

彼女は3兄弟で兄と弟がいます。親御さんの影響もありスキー競技を本格的に行っており、この前の大会ではジュニアの部3位になったようで、冬のシーズンは月に2回程はスキーに行っているようです。その分肌は少しだけ焼け、褐色の肌が活発的な印象を与えるがゆえに、一言も話さない姿に少々ギャップと違和感を感じた時間でもありました。 

 

衣装を決める際に彼女の内面を知れる大きなきっかけがありました、それはどのドレスを着用して、撮影をするのか決める際です。親御さんとどうしようかな、これも良いなと話していたところ、彼女が「これ」と即決したのが、真っ黒なドレスでした。直感的に彼女が何を考えていたのかがわかったような気がします。あくまで憶測にすぎませんが。今回の撮影はハーフ成人式撮影であり、来店は彼女とママの2名のみ。数あるドレスから一番大人っぽい印象の真っ黒のドレスを選択したことが、大人びた撮影がしたいと行動で示されたような気がします。そして今回少人数で来店されたこともきっと特別なことなのでしょう。彼女の期待値の現れだと感じます。 

 

私も兄弟の間なのでよくわかるのですが、基本的に自分だけということは中々ないのです。ですから特別に楽しみたいという気持ちが必ずどこかに生じていることでしょう。いざ撮影が始まってみると、実に素直で、ちょっとしたことでゲラゲラと楽しそうに笑っているのです。ああやっぱそうだったね、違和感が解決されていきます。シャッターが押される回数と共に、緊張感がとけていき、やっとお互いが対等な形で撮影が出来るようになってきました。 

楽しみのドレスは3シーン目に。この洋服は2シーン目に撮影を行いました。これまで記したここまでの過程で、彼女の抱く思いを私なりではありますが、感じ取ることができました。 

嬉しいことに、この日はスタジオに入って来る光が豊潤で撮影における選択肢は限りなく多かったように感じます。ではこの思いを写真でどうやったら撮ることができるのだろうか、イメージの具現化です。そのために一番大きな要素として光を選択しました。 

 

まあ10歳、ハーフ成人式の撮影ではありますので、子どもと言えば子供です。自分が10歳の頃なんて思い返すと子供子供していますし、30歳の今でも大人になったのか?と問われたら見た目はねと思ってしまいます。 

大人になろうとしている!というのが本当に10歳に適切なのかが個人的には疑問点が残るところではあります、自分は全くそんな気はありませんでしたから。でしから私の主観的な見解では、彼女は大人になろうとしているのではなく、大人への憧れの方が強いのではないだろうかと考えました。 

憧れを他の言葉に置き換えると何でしょう。欲としてみます。こうなりたいなと考えることが欲だとしても、全く悪い意味ではありません。でも自分の欲を明るみに出すことは恥ずかしいことでもあります。例えばレストランデートに行って、ガッツリしたものを食べたくなっても、このあとラーメン屋いこうぜ!なんていいませんよね。他者評価が気になるからです。そんな恥ずかしさと欲を抱いている姿を撮ることが「今を残すこと」に大切だと考えました。そこで光は間接光ではなく、直光のサイド光を選びました。強い光でサイドからあてる事で、影が強く映し出さされ、一般的なドラマティックな印象を作ることが出来るからです。あとは先ほどのこの写真のテーマに合うように、光をどのように当てるのかが大切になってきます。 

まず欲の部分を考えました。前途しましたがよくというものは全く悪いものではありません、極端に言うと欲が無いと発展的な変化自体いないと考えますし、人にとってはなくてはならない要素です。光が写真左上から落ちてきているので、ハイライトは必然的にこのカメラ位置からですと左側になります。欲をポジティブに捉え、今回は被写体の向き側に設定することにしましたので、彼女にはこの方向へ向いてもらいます。 

では恥かしさです。これはあまり人に大げさに見せる感情ではないと考えました。出来れは人に読まれたくはない感情です。ですから今回は影で演出しようと考えます。割合としては8:2くらいで。ですから大きく影の部分を入れる様にしました。 

最後の調整は顔の向きです。この向きにより光の当たり具合と、伝える印象が全く変わってきます。もしかしたら写真の決め手かもしれません。 

彼女が自身の内面を見るように、そしてそこには憧れと言うポジティブな要素があるように、目線の先にハイライトを設定しました。 

感情は流動的で、数ヵ月後には恥ずかしさもなく、この日に言いたかったことを素直に言い出せるようになっているかもしれません。 

そんな不確かなものである「感情」が見えるように服の返しで少し表情が分かるくらいに。 

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