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青山店
scrollable
母になる。
投稿日:2016/10/26
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Koshigaya
Photo:gomei
Codi:Takako Kawahara
Photo:gomei
Codi:Takako Kawahara
年間にどのくらいスタジオで撮影しているのだろうか、おそらくマタニティーの撮影は年間担当2~3件程度かなと思います。
あえて写真館で撮影をすることは少ないだろうし、しっかりとお腹が出てくるのは8か月くらいからだと考えると、出産直前の2か月間くらいしかタイミングがなく当社の予約システムなどを考えても、そのような出会いは大変貴重でありがたいことだと思います。
同い年のハツラツとした女性は少し恥ずかしがりながら
「いろいろと小物を持ってきたんです。」
と手作りのベルトやこれから産れるお子様用の靴などを見せてくれました。
衣装を決めてゆく段階でたまに見せる笑みは、幸せと期待が読み取れる柔和な印象を私に植え付けてくれました。
画角:母とは何か
マタニティー撮影をする際によく考えることは、女性と女親の違いはなんだろうかと考えます。一般的には出産をした経験により呼び名と共に質も変化するものですが、人の内面はそのように形式的に変化をすることはできないのではないでしょうか、徐々に人が変化してゆくように、一人の母には子供の成長と共に時間と経験によって母になってゆくものではないかと考えます。
妊娠をし、ゆっくりとお腹が大きく出産の準備がされてゆく中で、エコー写真、お腹の内側から蹴られる振動、膨らむお腹、いろいろな現象を感じながら、一人の女性でありながら、自分の体内にもう一つの生命を認識します。
自分であって自分でない存在、これから産れてくるお子様へ対しての期待と幸福感、そして女性から母になるしなやかな覚悟からなる強さは、マタニティー最大の特徴だと思います。
しなやか且つ強さのある、ある種神秘的な表情を最大に生かすことを考えました。
シャッターチャンスはいつでもあるわけではなく、考える時間も数秒間で答えを出さなくてはなりません。
目、髪、眉、指先…
選択肢は限りなくあります、物事の決定を行うには正確な情報取得が必要になります。
一つ投げ出してみます。
「お名前はもう決まったのですか?」
ふとお腹を見たときの口元が、フワッとなんとも軽くしっとりとした印象を可持ち出した瞬間、「これだ!」と内心ガッツポーズをしました
これは単純に微笑んでくださいと指示したところで出てこない色のある表情でした。
産れてくるお子様へ対しての期待と幸福感、そして女性から母になるしなやかな覚悟からなる強さをシンプルに伝えるべく、画角は口元とお腹のみに決定しました。
光:美しさの演出
辞書的意味で美しいとは、視覚的、聴覚的にきれいで心を打つものという意味になります。私はこの写真の美しさとは、しみじみと深い愛情を感じるさまと定義します。
写真を語るうえで光の存在は必ず通る道です、簡単な話真っ暗なところで素晴らしい被写体をとっても何も映らないように、光の印象は写真の印象を決定づけると言っても過言ではありません。
つまりしみじみと深い愛情を感じる光の設定をしなくては、美しく心を打つ写真になりえないのです。
1 お腹の曲線を軸として、逆光条件で撮ることで被写体全体のラインを強調。
2 母になる力強さを出すために絞りは6.3に、そのため極端に光源に近く立ってもらい濃淡をつける。
3 光によるラインを出すため、被写体の真横から撮影。
以上3点をシンプルに設定(条件)をし、撮影をしました。
よってこの写真の設定は、
F値6.3
シャッタースピード 1/125
ISO感度 500
としました。
それから:母
この書き込みより2か月前に撮影をしたお客様なので、ちょうど出産時期にあたります。元気な姿で泣いているだろうか?どのような表情で眠っているだろうか?どのような表情で我が子を見つめているだろうか?どんな気持ちで子どもを抱きかかえているだろうか?
次ぎ合う時にどのような表情なのだろうか?どのような撮影になるだろうか?どのような話をしようか?どんな話を聞かせてくれるだろうか?出産前のシューズは履いているだろうか?
私は3人になった家族の形を見て、どのような認識をするでしょう、今度会う時は我が子に無償の愛を注ぐ母の姿を撮りたいと思う。
そして毎年成長を記録しながら、懐かしい話ができたら本望だ。
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