この写真を一言で表現するならば、この『むにゅっ』という擬音にかぎる。
子供のほっぺたの柔らかさは、無限大だ。この子のように少し張りがあるほっぺから、顔から零れ落ちそうなもの、指で触れると沈み込むようなほっぺたなど、有りとあらゆるほっぺが存在する。その様々なほっぺには、それらを育むに環境があり家族という歴史がつまっていると思う。
 
体のあらゆる箇所から家族という歴史が滲み出てくるが、今回私が特にフォーカスを当てたのは、子供のほっぺと、まだまだ小さい手、パパとママの手この３つである。手というものは、男の人や女の人の違いや、これまで生きてきた証が皴となって刻まれている。パパとママが出会い、二人の大きな愛に包まれ、時には導かれる小さな手を持つ子供は、健やかにのびのびと成長する新芽のように張りのある希望に満ち溢れたほっぺをしているのだ。
 
私たちが撮る写真は動画のような音声が無い。でも、その1枚から撮影した時の声や、被写体や被写体を取り巻く環境の無音の声を聴きとれる写真を切り取る事が出来ると思う。家族写真という、本来なら家族全員の顔をしっかりと残さなければならないカットであったが、私はこの家族の絆をこのクローズアップから感じ取った。

photo byYuko coordi byShie