光を用いて被写体の感情を表現する。

 

この主題を用いて取り組んできた一か月少し。

印象的な光を探しまわってみたり、半逆光で被写体らしさを探しながら動かしてみたり、自身の中で探しながら取り組んできました。

 

そんななか私の中で行き付いたのはこの一枚でした。

 

眠さで彼女は限界を迎えていました。

まだ2歳のつたない言葉では言えなくても、表情と声の出し方がすべてを表現していました。

最後のシーンはママのお膝の上で始めましたが、お菓子を食べてみても、動画を見てみても、気持ちは晴れません。

ママのお膝で甘えながら、大きな瞳にギリギリまで溜めた涙。

「泣いているのもこの子らしくて面白いよね。」

パパさんからのその一言で、最後にこの瞬間を待とうと背中を押してもらいました。

ママさんが最後に一人で彼女を座らせてくれた瞬間。

我慢していたものが一気に溢れてきます。

 

この写真を撮るときに私がやった事は二つだけ。

二段階露出を暗くし、涙を綺麗に写すこと。

涙が一粒落ちるときをただ待つこと。

 

真っ赤になった眉間。

全力で声をあげる大きな口。

大きな瞳からこぼれ落ちる大粒のなみだ。

彼女のチャームポイントのくるんとした毛先。

 

ラストを飾る75枚目に。