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人を美しく見る

投稿日:2025/9/30

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「人を美しく見る」──それは写真家にとっての永遠の課題であり、永遠の喜びでもあります。
今回は、そのテーマを自分自身の息子に向けて挑んでみました。

6歳の男の子。フォーマルな白ベージュの衣装を選びましたが、あえてジャケットは外し、サスペンダーに。
首元には緑のスカーフを軽やかに結び、ほんの少しの遊び心を忍ばせました。
正装でありながら、肩の力を抜いた装い。
そのスタイルは、大人びた中に子どもらしい柔らかさを漂わせます。

撮影は室内の白ホリゾント。
白い空間に、LEDを駆使して大量の木漏れ日をつくり出しました。
人工の光でありながら、柔らかく揺れる木漏れ日の粒は、まるで自然が窓から忍び込んできたかのように彼を包みます。
白い背景に白い光を重ねることで、写真全体が「白に白を塗る」ような、不思議な奥行きを得ました。

光はただの照明ではありません。
それは“見るための装置”であり、“美しさを描くための筆”でもあります。
サイドからの木漏れ日が彼の輪郭を柔らかく縁取り、頬の立体感を際立たせます。
光と影の斑は、肌の温度や髪の質感を自然に際立たせ、見る者に「ここに確かに息づいている」という実感を与えます。

構図は中央配置。
彼を空間の真ん中に据えることで、画面全体が一点に収束します。
周囲に漂う木漏れ日の光は、まるで彼に吸い寄せられるかのように画面を満たし、主役としての存在感を一層強調しました。
中央配置は単純に見えて実は難しい。
しかし、この日の光と衣装と息子の表情は、その「静止の力」を見事に成立させてくれました。

分析的に見れば、

  • 背景:白ホリゾントを活かしたシンプルな舞台

  • 光:LEDによる木漏れ日効果

  • 配色:白ベージュ基調に緑のアクセント

  • 構図:中央固定による安定感と視線集中
    という要素の組み合わせです。

ですが、数値や技術を超えたところに、この写真の核心があります。
カメラを向けられた息子は、最初こそ照れた表情をしていました。
しかし光が降り注ぎ、衣装のスカーフがわずかに揺れる中で、次第にその表情は自然な凛々しさを帯びていきました。
子どもでありながら、自分が“見られている”ことを意識し、同時にそれを楽しんでいる。
その瞬間の彼は、ただ6歳の少年ではなく、“人として美しい存在”そのものでした。

私はこの撮影を通じて、あらためて思います。
人を美しく見ることは、飾ることでも隠すことでもありません。
光を操り、構図を整え、衣装を選ぶ。
それらはすべて「その人が本来持っている美しさ」を浮かび上がらせるための補助線にすぎません。
美しさは、被写体そのものの中にすでに宿っているのです。

レンズ越しに息子を見つめながら、私は思わず心の中で呟きました。
「人は、光の中でこそ美しくなる。」
それは技術的な真実であると同時に、人生における真実でもあるように思えます。
人は誰かの光を浴び、誰かの視線に照らされて、初めて自分の美しさに気づくのかもしれません。

この写真を見返すたびに、私は一枚の肖像を越えた“確認”を得ます。
人を美しく見ること。
それは写真家としての使命であると同時に、親としての祈りでもあるのだと。

 

 

Photo by Chiba
coordinator by Naganuma
writing by Chiba

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人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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