このスタジオで働き始めて、もう15年以上が経ちました。
当初は、7歳でも「大きい」と感じるほどで、衣装も120cmまでしか揃えていませんでした。

でも、時が流れるにつれて、来てくれる子どもたちも一緒に成長していってくれました。
今では中学生や大学生になった子たちも、撮影に訪れてくれます。

小さな子どもの服は可愛らしくて選びやすいけれど、
大きくなるほど服選びは少し難しくなっていきます。
「もっと衣装を増やしてほしい」という声をいただきながらも、
インテリアや世界観に合うものとなると、どうしても厳選してしまう
そんなもどかしさも抱えながら、少しずつラインナップを増やしてきました。

カジュアルだけれど、どこか特別。
普段は選ばないような、でもその子の新しい表情を引き出せるような服を。
そして、日常の延長にある “小さな非日常” を感じられるような装いを。
ドレスでなくても、ふわりと日常に馴染むような美しさを探しています。

ヘアメイクも同じです。
やはり時間の制限があるので、大それたものは出来ません。
しかしほんの少し前髪を変えるだけで、
耳を出すか隠すか、それだけでその子の空気が変わる。
そういう小さな工夫が、その子の"今"を引き出してくれる。
そんな瞬間に出会えたとき、心から「この仕事が好きだ」と思えます。

良さが引き出されたとき、カメラマンの目も輝きます。
撮る人、撮られる人、スタイリングする人
お互いを引き出し合いながら、写真が生まれていく。

私はカメラマンでもあり、コーディネーターでもあります。
この両方をやっていることが、スタジオで働く楽しさのひとつかなと思っています。

もちろん、どちらかだけを担当しているスタッフもいます。
でも、カメラマンだけど服を選ぶ視点もあるとか、
逆にコーディネートだけじゃなくて撮る側の気持ちもわかるとか
両方の視点を持っているって、やっぱり強いなぁと感じます。

Photographer : Mitsui
Coordinator & Writing : Shiiba

Location : Kokubunji