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広角をつかう

投稿日:2019/10/9

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LIFESTUDIO YOYOGI PHOTO

photo by Ueda、coordi by Nukui、write by Ueda


 

カメラのレンズは面白い。色んなレンズがあって写り方もそれぞれ違う。

望遠レンズの全てをぎゅっと詰め込むような写し方も個人的に好きだが、

広角レンズの表現もまた扱いが難しい分、面白みがあるなと感じている。

 

ただ広角は普段のスタジオ撮影で使われる場面は少ない。いつもと違った写真は撮れるが、

角度やアングルを少しでも見誤ると水平垂直がゆがんだ不安定な写真になってしまう。

またポートレートの場合、そもそも人の顔や体をゆがませることに抵抗を覚えるのが普通だろう。

 

普段から写真をよく見ている人は分かると思うが、広角を使った写真は明らかに現実と違う写り方をする。

近くにあるものがより大きく強調されて写り、遠くにあるものは反対に小さく写る。

この差によって前後の距離感が生まれ、結果的に広々とした空間を表現することもできる。

また、消失点へ向かっていくのか、それとも消失点から放射線状に広がっていくのか、

画面内の消失点を中心に強烈な流れができるのも特徴のひとつといえるだろう。

広角は諸刃の刃で、その効果が大きい分、使い方には他のレンズ以上に気を配る必要がある。

 

今回撮った写真は装着しているレンズの最大まで広角側に設定して、より効果が大きくなるようにしている。

実際に撮って見ると分かるが、ここまでアップで撮ろうとするとかなり被写体に近づく必要がある。

人にはパーソナルスペースというものがあって、自分から半径~cmという距離で他人との関係性が変わってくる。

物理的な距離は心の距離とも言える。広角のアップは被写体との関係を結ぼうとしなければ難しいトライになるだろう。

 

今回の撮影では子どもたちと楽しく撮影をする流れの中で広角を使用したため、リラックスした表情を撮ることができた。

また広角の効果により前面の子どもたちが大きく写り、画面の中から出てきそうな勢いある写真になった。

顔の角度や位置、帽子の角度や体のライン等が広角の描くラインの上に乗ったことでスッキリした印象も受ける。

 

この写真の場合問題にはならないが、もう少しインテリアが写った写真になってくるとインテリアにも気を配る必要がある。

被写体はよく写っていてもインテリアが変にゆがんでいたりすると、それだけで完成度は90%くらい落ちると実感している。

また広角は無駄な余白が生まれることも多くあり、レンズの特性上、被写界深度が深いため前から後ろまでピントが合いやすくもなる。

これを上手く利用するればよいのだが、安易にしようすると粗がでやすいので本当に難しい。

 

しかしだからこそ挑戦のし甲斐はあるのだと思う。肉眼では見ることのできない世界をカメラは見せてくれる。

見慣れてしまった風景でもどこか違って見せてくれる。せっかくその機会があるのだから、

広角の見せてくれる世界についてこれからも探求していきたい。

 

 

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