-楓-

 代々木という町はとても不思議な環境だ、

大きなビルが立ち並ぶ傍に大きな森が存在する。

高層ビルに吹く風はぎゅっと心を引き締めてくれるが、

森に吹く風は心を開放し癒してくれる。

そんな町に存在する代々木店にはいくつもの物語が存在する。



ライフスタジオに存在するインテリアは被写体のために存在し

どれも被写体を主人公にしヒロインにする。

生まれる７５cutの写真は、まるで戯曲のように人生を物語る存在となる。

父に守られ母に抱かれ、手をつながなければ歩けなかった小さな足が

いつしかそよ風のように独り立ちしてしまう

そんな人生の戯曲なのかもしれない。

いつかその戯曲を手に取り人生を振り返った時

あの街の風が、あの森の風が心を駆け抜けていく。

家族という存在がより明確によみがえる。

そのような空間が街全体にもインテリアにも象徴的に

表現されているのがこの代々木店だ。



兄というものは難しいもので、

いつしか妹にとってぎこちない存在になるのは必然なのかもしれない。

妹がいる私は兄妹という関係をそのように勝手に解釈している。

恥ずかしいんじゃなく、なんだかくすぐったい存在になってしまう。

妹と接するときは何かを振り絞るように接しないと上手くできない。

ビルの風が森を駆け巡るように何だか自然ではなく。

しかしそこで生まれる兄弟のコントラストが私はなんだかうつくしいと感じる。

なんとも可愛らしくいとおしい。

兄が振り絞った感情が素直に現れる、

この写真はまるでそんな年頃の兄と妹を表した写真のような気がする。

私の記憶に触れるような懐かしさを持つ写真、
この街だからこそ生まれた写真。