記録＋記憶
 
記憶は真実を曲げることがあります。
しかし、記録は曲がることがありません。
 
記録に残った真実は、あるひとつの側面であるかもしれませんが、決して嘘ではないのです。
 
 
私の小さい頃の一番古い記憶と言えば、２歳頃の微かなものです。
しかもそれが真実なのかどうかわからないような何とも心もとない記憶です。
皆さんもそうなのではないでしょうか？
生後半年の頃の記憶を覚えている人はいません。
もしいるのであれば、それはきっと親や様々な人に聞いた事を記憶として形作ったものでしょう。
しかし、誰しもが生後半年の頃を経験し、この世界に生きていたのは曲げようのない事実です。
「小さい頃は外に行くとよく泣いてたね。」
「よくパパの後ろに隠れてたよね」
「ママ抱っこじゃないと寝てくれなくて…」
本当にそうだったかもしれません。
でも、実はそうでもなかったのかもしれないのです。
それは誰かのフィルターを通して語り継がれる、主観の入ったおとぎ話のようなものです。
しかし、写真のようにもしそのひとときが記録として残されていたならば。
それは紛れもなくその時の真実なのです。
 
写真に写った彼女は、泣いたからパパが抱っこしたのでしょうか？それともパパが抱っこしたから泣いたのでしょうか？
それは写真を見ても分からないかもしれません。
しかし、この時泣いた彼女をパパがしっかりと抱きしめていたのは紛れもない事実なのです。
 
この写真という記録に加え、その時の様子を語ってあげるパパやママの存在があったのなら、それはそれは素敵な想い出と紛れもない真実になることでしょう。




photo by とみっきー