Photogenic
横浜青葉店
イメージとストーリー
投稿日:2020/4/19
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Photo by Kaori Sasaki
Cordi &Write by Misaki Nakagawa
今月から少しの間、コーディネーターの役割に集中をさせてもらうことになりました。
コーディネーターの役割とは、いったいなんでしょうか。
カメラマンのアシスタントととられることも多い立ち位置ですが、
ライフスタジオではアシスタントではなく、コーディネーターといいます。
カメラマンとコーディネーターの間に上下はなく、撮影においては完全に同列な立ち位置となります。
これがアシスタントとは違うところだと思います。
こどもたちにかわいくて、似合うお洋服を提案すること。
撮影を楽しく盛り上げること。
家族とカメラマンの架け橋となること。
カメラマンの意図を汲み取り、それを撮影に反映させること。
被写体の気持ちを汲み取り、心地よい空間を作ること…。
よりよい写真になるよう、より楽しい撮影になるよう、
カメラマンとコーディネータが一緒になって作り上げるもの。
それがライフスタジオの撮影であると思っています。
コーディネーターに集中をしたいと話をしたことにはいくつかの理由がありますが、
自分の中で撮影における自分の役割というのを、もう一度確認して、改めたかったという気持ちが理由の一つに挙げられます。
私は被写体にとって、居心地の良い空間を作れているのだろうか。
私は、一緒に撮影に入るスタッフの気持ちを汲み取ることができているだろうか。
人は物事に慣れてくると、見えてくるものもあれば、見えなくなってしまうものもあるんじゃないだろうか。
自分はなにかに盲目的になってはいないだろうか。
見落としているものはなにかないだろうか。
*
ライフスタジオで働き始めたときに行ったことは、
とにかくライフスタジオで撮られた写真をたくさん見ることでした。
自分が担当した撮影はもちろん、他の人が行った撮影、過去に撮られた写真やフォトジェニック。
たくさんの写真を見ながら「ライフスタジオにおける撮影、結果物となる写真」をインプットしていました。
自分がどんな写真が好きなのか、撮りたいのかを知るために始めたことでしたが、
結果として「そのような写真を撮るにはどうすれば良いのか」というのを考える題材にもなりました。
それはカメラマンとしてもそうですが、コーディネーターとしても役立つものになったと、今では思います。
ただ形のないものを漠然とイメージをするよりも、
完成したものを前にどのような撮影だったのかをイメージする方が自分にはあっていたのだと思います。
たくさんの写真を見ながら、この写真だったらきっとこういう声かけをする。
こういう誘導の仕方をする。こういう表情が似合うかもしれない。
そういったイメージを自分の中に積み重ねていきながら、撮影をしていきます。
*
このシーンでの撮影では、以前に草加店で撮られた写真が頭の中に浮かんでいました。
緑豊かな草加店のインテリアを思い浮かべながら、この場所でどのようにして遊ぶかを考えます。
カメラマンのかおちゃんの指示も聞きながら、
どう動いてもらうのか、それによってどんな表情が見えてきそうかを考えます。
モデルの女の子は、無邪気で、素直で、一生懸命。
撮影の途中からは私のことをよく観察し、真似っこをしてくれるようになっていました。
葉っぱはどんな匂い?ときけば、葉っぱに鼻を寄せて、
偽物?本物?ときけば見極めようとじっくり観察してくれます。
ひとつひとつの動作でコロコロと変わる彼女の表情につられて、私もコロコロと表情を変えます。
するとそんな私を見て、彼女もまた表情を変えていってくれます。
真似っこをする彼女と、真似っこをされる私。
実は私と彼女がそんなやりとりをしているとは知らないかおちゃんに、ちょっとした悪戯をしている気分でした。
かおちゃんがちっちゃくなって!といえば、
彼女は体を丸めて一所懸命、小さくなってくれました。
望遠レンズで離れた物陰から彼女の姿をとらえようとするカメラマンのかおちゃんと、
これまたせまーいスペースでちっちゃくなって膝を抱えるモデルの彼女。
かくれんぼをしているかのようなシチュエーションに、
じゃあ、この場面ではどんな表情が似合うのだろうかと考えます。
かおちゃんも彼女も鬼から隠れているのだとしたら。
仲間同士、偶然近くに隠れて、目があっているのだとしたら…
「しーっ」のポーズでくしゃっと笑って見せると、
真似っこの上手な彼女も同じポーズで答えてくれました。
*
イメージを膨らませての声かけだったり、誘導だったりが、
結果的に1枚の写真として自分の目の前に現れたとき、
コーディネーターとしての充足感を感じることができます。
声かけがただの指示にならないように、そして、出来る限りそこにストーリーをつけながら。
ストーリーがあることによって、写真に流れができて、
ポージングや表情はより自然なものになっていくのではないかと思っています。
そしてそれが、居心地の良い撮影空間になるのではないかと考えます。
集中をさせていただく期間、ひとつひとつの物事をきちんと見据えながら、
冷静な判断と、心のある対応を心がけながら、
ストーリーを紡ぐような撮影ができるようにしたいと思います。
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