Photogenic
横浜青葉店
写真分析「撮りたいポイントと、表現したいイメージ」
投稿日:2018/4/29
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Photo by Natsuko Takagawa
Coordi by Misaki Nakagawa
「目をポイントにして撮ることが多いかな。
目は口ほどに物を言うから。」
クローズアップについて質問する中で、
そう五明さんが答えてくれた。
また、「この子をこういうイメージで撮りたい、というのを1番投影できるのがクローズアップだよ」とも教えてくれた。
私はいつも、目の前にいる子の何を、どんなイメージを残したいんだろう。
写真の彼女は初めからよく笑う子だった。
だから家族写真の1枚目から笑顔だったし、兄妹写真も笑い声にあふれていた。
ただ、笑い上戸で、笑いすぎると少し顔に力が入ったような笑顔になるのが癖なのかな、と思っていた。
だが、それは間違いだった。
2シーン目になり彼女のソロを撮り始める。
マニッシュな衣装だったので、少しかっこよく、静かなイメージで撮っていた。
そのため先ほどの姉弟写真に比べ、撮影の空気も少し静かにしていた。
彼女自身もこちらの指示に沿ってポーズを決めてくれ、カメラをまっすぐ見つめてもくれる。
けれど、合間合間で先ほどと同じ、少し顔に力の入ったような笑顔をする。そしてこらえるようにククッと笑うのだ。
もう~笑い上戸さんだなぁ。笑、と思ったが、よくよく見ると目に涙をためているではないか。
あ、これ、違う。緊張してるんだ…!!
緊張で涙がこみ上げてるんだ…!それをごまかすために笑ってるんだ…!
というか何なら、私たちに涙を悟られないように頑張って笑ってくれてる…?!
彼女の気持ちに気づけなかったことに申し訳なさを感じながら、衣装チェンジへ。
3シーン目はドレスだった。
サキちゃんと話して、今度は頑張ってくれた彼女にとにかく楽しんでもらえるように、
少しでも楽に感じてもらえるように、
会話を交えながら、
ふざけながら、弟君と遊びながら、笑
撮影を進めた。
先ほどよりは、少しリラックスしてくれているようだった。
そしてファインダー越しに彼女を見ながら考える。
とても緊張をしてはいたけど、彼女が写真を嫌がっている風には見えなかったなぁ。
衣装は全部自分で選んでくれたんだよ、とサキちゃんがくれた情報を考えても、
普段と違う服を着る事も、それで写真を撮る事も楽しみにしてくれてたんだと思う。
カメラに目線をくれるときは、緊張は感じたけど、口角をあげて真っすぐ見つめてくれていた。
あと、最初の挨拶の時に「よろしくお願いします」と深々お辞儀をしてくれていたという彼女。
私たちの事を、きちんと「お店の人」「身内とは違う大人」として認識してくれてたんだと思う。
だから「この人たちの言うことに応えなきゃ…!」
と、プレッシャーも少なからず生まれていたのだと思う。
だから、涙が出るほど緊張しているのに、
笑って隠すのだ。
そんな彼女に、とにかく誠心誠意気持ちを込めて、綺麗に撮ろうと思った。
頑張ってくれてありがとう。
すごく緊張するよね。
あ、今の顔可愛い。
やっぱり弟君からむと表情も和らぐなぁ。
何て言っていいかわからないけど、緊張してるけど頑張ってくれる姿、
すごく素敵だと思う。
すごく辛かっただろうなぁとも思うんだけど。
ドレス可愛いね。
ヘアもメイクも似合ってる。
たぶん、そんな所も楽しんでくれてるよね。
だったら、お姫様っぽくすごく可愛く撮ってあげたいなぁ。
私自身がそうだから思うのだが、
撮られるときの緊張って「今どう写ってるんだろう」という不安もあると思うのだ。
だから、すっごく可愛いよ、という気持ちを込めて、
頑張り屋さんな彼女を、
まだ少し緊張感の残る姿を綺麗に可愛く撮ってあげたいと思った。
五明さんの言葉を思い出して、とにかく目を意識した。
彼女の緊張と、頑張り屋さんな所がその目で伝わるように、
黒目の位置がまっすぐ前を向くより気持ち手前に。
キャッチライトがしっかり入るように。
逆光で撮ることで柔らかい印象になり、鼻筋と頬、巻いた髪の毛も優しく照らされる。
今月取り組んでいたのは「クローズアップ」だったため、本当だったらもう少し寄って撮りたかったのだと思う。
でも私は無意識にこの距離感をとった。
たぶん、先ほど涙こそ流れてないものの、泣かせてしまったという引け目と、
これ以上近づきすぎると緊張させすぎてしまうかな、という遠慮からだった。
でもそれによって、彼女の緊張感(と私の遠慮)が表れた1枚になった 、のかもしれない。笑
私が撮りたいのは、私がその子に対して「良いな」「素敵だな」と感じた箇所だ。
それは仕草かもしれないし、外見かもしれないし、内面かもしれない。
その「良いな」と感じたポイントを「どう良いと感じたのか」「どんなイメージで」を偶然ではなく狙って表現するには、知識と技術が必要だ。
少しずつ前進できるように、
もっともっと撮りたいポイントとイメージが表現できるように、
逃げずに一つずつ向き合っていきたい。
それが被写体に対する誠意の一つでもあると思うのだ。
頑張ってくれて、ありがとう。
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