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写真分析 / 光で遊ぶ③〜時には光の届かぬ場所で。
投稿日:2018/4/29
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Coordi by Misaki Nakagawa
@Yokohama Aoba
移ろいゆく自然光。
それは時に隠れ、気まぐれに現れ、思いもよらぬところに伸びてくることもあります。
季節により、時間により、天候により変わる光の条件を、その時の被写体に適切かどうかも含めて、撮影者は考えなければなりません。
それでも、ひとの撮影をしながら、時に気まぐれな自然光を連れて来てくれたんじゃないかと思うようなタイミングがあったりもします。
その瞬間、そんな光を纏った被写体に、撮影者の胸はときめくというものです。
曇天と言える天候の日でした。
10歳の、ハーフ成人式を迎える彼女の撮影は、ライトボックスで光を作りながら進めていました。
何気なく、自然光は望めなさそうだね、なんて話をコーディネーターのsakiちゃんとしながら、2シーン目の撮影の為にドレス姿の彼女と2階に上がると、突然光が差し込み始めたのを覚えています。
白い、ドレープ感のあるドレスを着た彼女に纏わりつくように現れた光は、まるで彼女が光を連れて来てくれたようでした。
この写真で、彼女の横顔に入る光は、『写真分析 / 光で遊ぶ②』で使用した光と光源を同じくしたものです。
しかし、使い方は異なります。
彼女が座るこの場所は、本来その光が届く場所ではないのです。
この光は、直接彼女に向かって届いた光ではなく、彼女の手前の床に反射した光を使用しました。彼女の正面に回り込めば、強いアッパーライトになってしまう光です。
アッパーライトは使いどころが難しく、通常は避けるべき光ですが、角度を変えれば見え方が変わります。
正面からだと、顔の広い面積を下から照らして陰影をつけてしまう、いわゆる『お化けライト』になってしまうアッパーライトも、横に回り込めば、曲線をなぞる光のラインとしてその表情を変えて現れます。
この時、光源となった自然光は、正に気まぐれな様相を呈していました。
それはまるで、ちょっと小悪魔的な魅力のある彼女の性質を反映したかのように、曇天の中でさあっと差し込んだかと思うと、風に流された雲に遮られてするりと陰ってしまう、そんな悪戯な光。
彼女に座ってもらったこの場所は、前述の通り、通常は光の届かない場所でした。
ライトボックスを使うか、気まぐれな自然光を待つか。少し考えながら彼女を誘導した、その直後に差し込んだ強い光は、青葉店の白い床に反射して、彼女の横顔をなぞりました。
光の届かない場所で、白い床からの反射を利用した光が描くエッジは、写真の印象に大きく作用します。
『光』は、その1枚の写真における世界観の基盤とも言える、写真の中の全ての構成要素の起点とも言える要素だからです。
10歳の女の子の横顔を、印象的に彩る光。
それは、彼女の表情に『光』でメイクをする感覚でした。
額の曲線から伏せた瞳に入るキャッチライトと、涙袋と頬の曲線をなぞるその光は、『彼女』という存在を際立たせ、引き立てる。
彼女が連れて来てくれた光は、彼女を表現するのに適していました。
時にはこうして、光の届かぬ場所で、僅かなタイミングで現れる光を遊ぶのも良いものです。
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