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横浜青葉店
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Aobaジェニック December.2017
投稿日:2018/1/14
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Reiri Kuroki 「Relax, Enjoy, and Naturally,」
photo&write by Reiri Kuroki
coordy by Mayu Kanasugi
@Yokohama Aoba
『いつも楽に、より楽しく、もっとも自然に』。
なんだか、アタマがカタいなあ。
と、いつも思っています。我ながら。笑
そもそもが長女気質というか、頑固者というか。
『真面目なだけで、面白味に欠ける』と何度言われたことでしょう。
そんな私は、もちろん写真にもそれが反映されてしまいがちです。
だからこそ、捉われない自由さを持つ五明さんの力強い写真や、柔らかな光や影を美しく描写するかおちゃんの写真に刺激され、時折嫉妬したりもします。
もちろん、私の写真には私なりの得手とする部分もあるはずなので(そうであってくれ)、そういう部分でカメラマンとして立っている訳ですが。
それでも、今の自分にあるものだけで勝負するのに、少し疲れてしまう時があります。
自分に無いものを求めてしまう、ヒトの性。そんな訳で、今月は自分の中で『いつも楽に、より楽しく、もっとも自然に』ということを、ひとつの指針とすることにして、それを意識しています。
『いつも楽に、より楽しく、もっとも自然に』とはどういうことでしょうか。
まぁ、まず不必要な力を抜こうと思います。
「良い写真撮るぞー!」「今日もかけがえのない家族の思い出記録するぞー!!」と息巻いていると、ちょっと張り詰めすぎてしまう。楽器の弦だって、強く張り過ぎてしまうと切れやすくなってしまうものです。
少しの余韻を残せるくらいの、適度な張り具合が良い音を出せるのではないでしょうか(…と、ここまで言っておいて、全然楽器弾けないので、トンチンカンなこと言ってたら申し訳ないなぁと思います)。
楽しく、というのは、『より楽しく』です。今よりも、もうちょっとだけ、遊び心を出してみよう、ということ。
先述の通り、真面目なばっかりで面白味が無いのが自分の残念なところです。撮影は楽しんでいますが、撮影の楽しさの中には『写真を撮る』という責任も内包されています。真面目な分、その『責任』の部分が顔を出す頻度が多い傾向にあると言えるかも、知れません。
ならば、今よりももう少しだけ、その頻度を減らして『楽しく』の部分を面白がってみるのも一手です。
自然に、というのはこれまた幅広い感じですが、とりあえず『撮影者として被写体に干渉すること』を、少し控えてみようと思いました。
ポージングをお願いしたり、色んな指示を出したり、指示が通じない年齢層の被写体には音を出したりシャボン玉を吹いたり、と、私たちは色々なことをしながら写真を撮っています。
それは、『美しい写真を残す』為に必要な、撮影者自らが被写体に作用して、美しさに近付けていくということでもあります。
しかし、干渉が過ぎると、それがその被写体の美しさなのか、管理されたバランスの元の美しさなのかが不明確になります。
勿論、そのどちらも、美しい写真の基準として在って良いものではあると思いますが、今私が意識するべきは、被写体の存在そのものが放つ魅力を表現し得る『自然』な写真であって、それを意識するならば、被写体への干渉を敢えて控えることで、それを引き出せるのではないかと考えました。
さて、写真です。
こちらは3歳の女の子。おしゃべりが楽しくて、プリンセスが好きで、割と自分の世界をしっかり持っている子でした。
ポージングなども、お願いすれば多分できるのですが、気が進まない時は
「それはむり〜」と断られてしまいます。
その断り方も、ちょっぴり小悪魔的と言うか、本当に本気で無理だとか嫌だとかいう訳ではなく、こちらのお願いに対してちょっと面倒臭そうで、自分の楽しみを優先したい感じがまた女の子らしい断り方だなぁとしみじみ感心してしまいました。
そんな彼女が、2シーン目の着替えが終わった頃、「かくれんぼがしたい」と言いました。
ひょっとしたら普段なら、もう少し撮影に効率的な遊びを代案として提示したかも知れません。しかしこの時は、彼女のしたいことに乗っかることにしました。
「いいよ、かくれんぼをしよう」
「オニをやってくれる?お姉さんたちが隠れるから!!」
衣装はどんな感じ?と聞いた時、コーディネーターのなすちゃんは
「ほっこり系ですかね!森の感じで。レンガの方とかが合うと思います」と答えてくれました。
なすちゃんは、コーディネートとインテリアのイメージを併せて考えて、提案してくれます。
そのもこもことした森ガール的な服装のイメージと、その日のその時間帯に差し込む光と、その光が降り注ぐインテリアが、前提条件として好相性であるように見えました。
そして、彼女からの「かくれんぼがしたい」という提案。
それをもらった私が、撮影の為の指示をしたのはひとつだけ。
「オニはここで数えて待っていて!」
彼女は、目を隠していーち、にーい、と数え始めます。
その間に、私は彼女の周りにあれこれ小物を置きました。いずれも、全体の統一感を重視して、空間に微妙な間延びがしないように配置しています。
大きな窓は、その存在感を出す為に窓枠全体を入れ込みました。
広く取った空間に対して、被写体の彼女はその『森で遊ぶ、小さな女の子』というイメージの強調の為に、やや小さめのバランスになるようにフレーミングしています。
写真の右側に重心が寄っているので、左側には前ボケを被せて、デザイン的な役割も担わせました。
彼女は、『かくれんぼ』という遊びに興じています。この瞬間、撮影者は彼女への干渉をする必要がありません。彼女は外部刺激ではなく、自分の中から湧いてくる楽しみの中にいます。
そして何より、期待感から待ちきれなくなって、数えている途中なのに少しだけ手をずらして見てしまっている、そんなところが『自分の楽しみを優先したい』女の子の感じとして、ごく自然に現れた『その子らしさ』の部分でした。
『いつも楽に、より楽しく、もっとも自然に』。
不必要な力は抜いて、いつもよりちょっと楽しみを助長して、固め過ぎずに被写体のタイミングを待つこと。
今回は、そういうやり方で写真を撮ってみました。
こういうやり方そのものが真面目くさいという見方もありますが。笑
まずは、小さな一歩から。
今の自分の得手も活かしつつ、今の自分に無いものを、少しずつ取り入れていきたいと思います。
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12月の横浜青葉店のベストフォトことAOBAジェニックはこの一枚に決定いたしました!
そのお子様の仕草や子供らしさをとらえた一枚。そしてそれまでの過程が記されています^^
今回の会議は皆自分の思う一枚に情熱を込めた一票と討論の末決定いたしました。
これからも変わり続ける写真をお楽しみください!^^
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