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横浜青葉店
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Aobaジェニック November.2017
投稿日:2017/12/7
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@Yokohama Aoba
Photo by Kazuma Gomei
Coordi by Natsuko Takagawa
Photo by Kazuma Gomei
Coordi by Natsuko Takagawa
モニターでこの写真が流れた瞬間、全員が「おぉ…!」と思わず声に出した。
そして、特にパパさんがすごく嬉しそうだった。その理由は何だろうか。
彼は野球をしている男の子だった。
そしてパパさんは、とある高校の野球部監督。
「グローブを持ってきている」ということで、「おぉ!良いですね!ぜひ撮りましょう!」とすぐさま賛同した私たち。
そこからカメラマンである五明さんは自身も野球をしていたという話から、野球に関する話を展開していった。
3年間やっていたこと、卒業試合は親が見にきてくれていたこと、そこで最後にバントを打ったこと…。
笑い話を交えながら、彼の笑顔の瞬間を捉えていく。そして、こう話していた。
「そんな僕でも、最後の試合を終えてグローブを外し置いた瞬間のこと、今でも思い出せるんですよねぇ。ありがとなぁ…!って。」
そんな瞬間は、私にも覚えがあった。最後の試合が終わり、テニスラケットを鞄にしまう瞬間、3年間お世話になったテニスコートにした最後の挨拶。
野球をしていなかった私でさえも自分の経験と重ねて、想像することは難しくなかったのだから、自身も野球をしていて今現在も野球に携わっているパパさんが「あぁ〜…!」と共感していたのは当然のことだった。
私はこの写真を「形象化」されている写真だと考えた。
カメラマンが意図を持って、見えないものを見える形にしている、そう思ったのだ。
恐らく始めは、いつも通り被写体を「観察」していたのだと思う。
彼がどんな子なのか、どんなお兄ちゃんなのか、どんなご家族なのか。とても素直で、笑顔はまだ少しあどけなくて、妹もお兄ちゃんと一緒だとより楽しそうで、パパさんママさんもこの撮影を楽しみに来て下さっていて。温かいご家族だった。
2シーン目の妹ちゃんの撮影も終えて、彼の撮影に移った。
そして「グローブと一緒に撮ってほしい」という言葉を聞き、イメージを膨らませた、のだと思う。
彼とグローブの何を撮ろうか、何を表現しようか、五明さんの中のイメージを形にする為に、野球の話をしながら「情報収集」をしていたのだろう。
小さい頃からしているという野球、お父さんは野球部監督、引き締まった体。素直な性格だから、きっとまっすぐに真面目に野球と向き合ってきただろう。
パパさんママさんからの「グローブと一緒に撮ってほしい」という言葉は、どのような想いからだったのだろう。
私がこの写真で表現されていると思った「見えないもの」は、「彼が野球とどう向き合ってきたのか」という、野球と、そしてグローブと向き合ってきた時間だ。
まず、彼とグローブだけが浮かび上がるように余計な照明を全て消し、ライトボックスだけで照らす。余計なものは排除して、最小限の範囲だけ、彼がグローブを見つめる目線と、そのグローブだけに当たれば良い。
情報を収集していたのは彼のことだけではない。彼のことを見つめるご家族もだ。
「彼が野球とどう向き合ってきたか」はずっと近くで見守っていたパパさんママさんが一番良く知っているはずだ。
だからこそ、形に残したくて「グローブと一緒に撮ってほしい」と伝えてくださったはずだ。
野球を始めた当初は子供だった彼も、だんだんと青年に近づいていることがわかりやすい強めのライティング。この写真の彼を見て大体の人は「可愛い」ではなく「かっこいい」という印象を持つのではないだろうか。
そして同じく強めのライティングで照らされるグローブ。照らされたこと映し出された質感は、それこそ彼が向き合ってきた時間や練習量が伺えるのではないかと思う。
モニターで「おぉ・・・!」と声が出たのは、写真その物のインパクトに対してだけではなく、撮ってほしかった物が写っていたからだと思う。
パパさんママさんの中にあった「想い」に近い「イメージ」を、五明さんが観察を通してイメージとして汲み取り、そのイメージに名前をつけることで、一旦頭の中で形にする。そして実際に写真という目に見える形にする為に、光やポーズを設定していく。
実際に五明さんが浮かべたイメージが、「彼が野球とどう向き合ってきたのか」という、彼が野球と向き合った時間、それを見守る目線だったかはわからない。
けれど、五明さんが感じ取り形にしたイメージが、パパさんママさんの中にあった想い、残してほしかったイメージであることには間違いないだろう。
モニター直後に「あの写真良いね・・・!あれ飾ろうよ!」と嬉しそうに話して下さっていたパパさんの姿がその答えだと思っている。
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11月の横浜青葉店のベストフォトことAOBAジェニックはこの一枚に決定いたしました!
Natuko初の店舗フォトジェニック獲得!!
彼女がこの一枚の分析を書ききるまでには、いろんな努力がみられ、努力の結晶だと思います!!
これからも変わり続ける写真をお楽しみください!^^
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