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影の存在
投稿日:2017/9/19
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明るければ”良い写真”ではない。
表情が分かれば”良い写真”ではない。
そこに撮影者の想いが込められているか。
その想いがどのように表現されているか。
そして第三者にはどのように写るのか。
想うだけでは撮れないし、
技術だけでは人の感情に訴えることは難しい。
撮影者には自分の感情に問いかける意識と
それを最大限表現する術を見につける努力が必要になる。
右から伸びる大きな木の枝。
それと対になるように写り込む車のドア。
そして被写体が持つ傘の斜線。木を見上げる被写体。
この1つ1つのバランスが左右を均等にし、写真に安定感を出している。
木と車。
この2つのインテリアはバランスを保つだけではなく
被写体を囲むように写っている。
フレームのような役割を果たし、より被写体が際立つ存在となった。
この写真の特徴といえば「影」であるように感じる。
木の葉の作る濃淡の影。
車のドアの影はトーンが暗く、
和傘の影はエンジ色はより渋みを出している。
そして何より被写体の足元から手前に伸びる影。
光を感じるより影を感じるこの写真はだいぶ落ち着いた印象を受ける。
そして床の余白と影の存在は、鮮やかな着物と木の緑と相反しており、
見る者に少し考えさせる余裕、余韻を作る。
7歳の七五三には「大人の女性」としての節目の意味があるという。
光を十分に取り入れた明るく透明感のある写真ではなく、影を感じる今回の写真。
無邪気に笑う子どもとしての彼女とは違う、
”1人の女性”としての一面を写そうとした撮影者の想いが表現されているように感じる。
これから彼女は1人で考え、時に傷つきながらも大人として成長していくのだろう。
Photo by Hiroyuki Suzuki
Written by Ayako Kai
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