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Movie2:セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター

投稿日:2016/12/16

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「ブラジルに生まれ、ユージン・スミス賞をはじめ、多くの賞を受賞する世界的な報道写真家であり、大自然の保全や復元に尽力する環境活動家としても知られている今世紀最も偉大な写真家セバスチャン・サルガド。
彼の作品は、たった一枚で見る者の心を打ち、人生を変えてしまうほどの深い感動を呼び起こす―。
“神の眼”とも呼ばれる奇跡的な構図、モノクロを基調とし荘厳なまでに美しい作品の数々を彼はいかにして撮りつづけて来たのか?」
(セバスチャン・サルガド HPより)


昨年から継続している湘南店での映画討論。
討論といっても堅苦しいものではなく、以前はスタッフそれぞれに好きだったりみんなで観たいと思う映画をそれぞれが設定して鑑賞し、感じたことを自由に話し合う形式だった。
神奈川の会議などがはじまりそちらに集中すべく一度間を置いて、
今回再び始めた映画鑑賞とまとめ、討論。
今回の映画討論についてはテーマを設定した。
そのテーマは「視線」。
前回のバンバンクラブの、ピューリッツァー賞を受賞したケビン・カーターの「ハゲワシと少女」もそれを示すものだと思うが、
いつも写真を撮る場にはまずそこにいる写真家の見ているものがある。
それを写真家は命がけで撮影するが、その写真を見る側も見る方向性が異なる。
写真の中に写る大体の状況は把握できるだろう、しかし、その先に湧いてくる感情であったり、美しいと感じる部分、卑しいと感じる部分、そこには見る人が増えるほど大きな差異が生まれる場合もある。
多くの人が感じるものが視点、自分の国でない場所で起きている戦争や紛争の写真、怖いもの、などであるとすれば
視線というのはその「人」自身の見ているもの、伝えたかったものが何なのかを考えるということで
より純粋に写真家の思想に寄り添ってみたいという思いからそのように設定した。
セバスチャンサルガド、
この映画を観るまでは恥ずかしながらスタッフも誰も知らなかった。
しかしこの映画が始まってすぐに映し出された写真を観てみんな衝撃を受けた。
「これ絵?写真なの?」そんな声も聞こえた。
私も、一瞬絵なのかなと思った。
くっきりとコントラストが色濃く示された、崖を登るため規律正しく並ぶ人々の輪郭、その大勢の迫力。
今でこそCGとかそういったもので加工ができてしまうのかもしれないが、
その写真は紛れもなく現実の写真で、その一枚の迫力に圧倒されてしまった。
サルガドは、いつも人と向き合ってきたそうだ。
しかし、ルワンダの内戦での凄惨な状況を目の当たりにし次第に心を病んでいき、故郷に帰ることとなる。
そこには草木が枯れ果てた大地があった。
サルガドには、それが自分が見てきたものとリンクしたそうだ。
その大地を緑で豊かに再生していこうとするプロジェクトを妻とともに立ち上げ、幾度となく失敗を繰り返しながら
 Instituto Terra という国立公園を作り上げるまでになった。
これが現実にそのようにして生きてきたたった一人の人の人生なのだと思うと、写真を見た時と同じように圧倒される。
写真家としての人生、そして環境プロジェクトの発起人としての人生。
人を愛し、信じ、絶望し、また希望を見出し、森林とともに再生していったのはまたサルガドの心そのものでもあったのではないだろうか?と思った。
いつもサルガドは思うことを行動し体で感じ、頭で考え、行動してきたということなのだろう。
優しくたくましい人だと感じた。信じる力がここまで人を動かすものなのかと。
そして映画の中で息子とともにアザラシの群れに囲まれた状況での言葉
「ここでシャッターを切ればアザラシのアップで誰も見たことのない写真が撮れるだろう。
でも、構図が良くないんだ。
背景に何もない。
それはただの記録写真だ。」
写真を撮る上でただの記録写真では意味がないというサルガドの言葉。
そのこだわりこそが彼が偉大な写真家たる所以であり、
だからこそ一枚一枚に人々は心ひかれてしまうのだろう。
そしてそれがただ写真を残ることを目的としているだけでなく、
何かを投じたい、感じたものを伝えたいと願うサルガドの願いが写されているからこそ説得力がある。
写真は真実を写すもの、その視線が写真家の人生を写しているものだとしたら
私たちにも私たちにしか撮れない写真があるはずだ、と思うと
改めてその深い部分に連れて行ってくれるような映画だった。
 

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