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『 トンネルを抜けた世界 』

投稿日:2021/12/20

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photo : Masashi Kuroki|coordi : Satomi Sugawara

No.24 Life studio Shonan

 

 

人間の「目」はとてもよく出来ている。

 

改めて、人の目についてそう感じました。

見た物に瞬時に焦点を合わせ、その物への距離感や肌触り、そしてぬくもりまでをも脳に伝え感じさせてくれる「目」。

この先、どれほど文明が発達しようが人の目を越えるカメラやそれに値するものなど生まれはしないでしょう。

でもそんな目にも一長一短があります。

それは、「カタチとして残せないこと」です。

人の体にプリンターが繋がっているわけでもないので、思い出という記憶が脳内に刻まれるだけで物として残す事は出来ません。

だから、物として残したいというその想いがあったからこそカメラが誕生し、写真があるのでしょうね。

とは言ってもやはり人の目の方が優れてはいますが、カメラというか「レンズ」にしか持ち合わせていない「力」があります。

 

それが、

 

レンズという「 トンネルを抜けた世界 」

 

人の目は視野が広く、広いが故に色々なものを見てしまい、感じているようで感じられていないことも多くあります。

でも、長いトンネルを通って見ることでその感じられないことをより深く感じることが出来ます。

この日もそうでした。

 

途中、少々不安な表情を浮かべた彼女は迷い無く「ママという安心」に向けて歩み寄りました。

もう赤ちゃんの頃からずっと親しくさせていただいているご家族。

今まで、泣いたりぐずったりもありました。

でもその度、ご両親のぬくもりがその降り注ぐ雨を止ませてくれました。

それは子供たちにとってみれば何にも代え難い「安心」。

ですが、自らが近づいてしまうとその安心を崩してしまいかねない。

そこで私たちは長いトンネルをくぐります。

そのトンネルをくぐったからこそ、私たちの気持ちだけが二人のそばに近寄ることが出来ました。

長いトンネルを抜けたその先には、どことなく涼しげな空気感と手が届きそうで届かない家族のぬくもりがありました。

 

 

 

人類から「安心」という言葉が消えかけた昨今、私たちがいつの日か目にするであろう「トンネルから抜けた世界」には「安心」という光景が広がっていることを願います。

 

 

結論 : 人間の目だけがよく出来ているのではなく、

人間そのものがよく出来ているからこそ残したいものがあり、

「写真」が必要なのだと思います。

 

 

 

Written by Masashi Kuroki   Shonan

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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