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湘南店
『 思い出になる毎日を 』
投稿日:2021/7/9     更新日:2021/7/9
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photo : Masashi Kuroki|coordi : Izumi Saito
No.24 Life studio Shonan
もう何年も前の話ですが、母親の実家、いわゆる私のばぁちゃん家があった場所に行った時の話です。
「ばぁちゃん家があった」。そう、もう二十年以上前にお別れをしてからその場所がどうなっているのかも知りませんでした。
そしてある時、用事で近くに来た事もあり、ばぁちゃん家のあった駅で足を止めました。
場所は東京都新宿区中野にある「中井駅」。
久しぶりに降り立った駅前は大きく変わった部分は無かったものの目印にしていたお店が無くなっていたり建物があった場所が道になっていたりなどの変化はありました。
でもそうなっていたからこそ、「ここに何があったけな〜?」とか、「あぁ!あれだ!」とか記憶を呼び起こすきっかけともなりました。
ここは大都会東京。
なんですが、住宅地なのでいつも歩いている人が少なく、シーンとした町並みで、心なしか空気も綺麗に思えるほど静かな所です。
そんな記憶を思い起こしながら歩いていると私はばぁちゃん家の前にいました。
そこには、ばぁちゃん家と同じ大きさのコインパーキングがありました。
別に、今そこに何があっても良いし、何があったからといって嬉しいわけでもなかったのですが、あるべき所にあるものが無かったのを目の当りにした寂しさのようなものを感じました。
遠くにある踏切の音が聞こえました。
それと同時に湧き出る思い出。
しばらく立ち尽くしていた私は駅へと戻りました。
帰りの電車の中、湧き出てくる思い出は特別な日でもなんでもない「いつも通りの一日」ばかり。
人の思い出は、以外となんでもない日の思い出の方が多いのかなと思いました。
日々、私たちと子供たちとが戯れ、それを写真に残す。
その一日は勿論何かの記念日であることが多いので特別な一日であってほしいのですが、なんでもないいつも通りの一日もこの写真をきっかけに思い出にしてもらえるなら、と思いながら太陽が真上にある時間のこの日、子どもたちとスタジオの外に飛び出しました。
外と言ってもスタジオ横の私道ですが、そこでいつも通り二人と遊んでいるとまるで「夏休みにおばぁちゃん家に遊びに来ているような光景」に見えました。
おそらく、私にそう感じさせたのは決してシチュエーションなどではなく「二人の気持ち」なのだ、と感じました。
二人が私たちの前でいつも通りの一日を過ごし楽しんでくれているからこそ、そう見えたのかもしれません。
二人が大きくなったら、「なんでもない今日一日のこと」は覚えていないかもしれません。
でも写真というもので、いつも通りのなんでもない一日が思い出に出来るなら、これほど楽しい毎日はないでしょう。
私の思い出の中では、あの場所には今でもばぁちゃん家が建っています。
「思い出になる毎日を」
Written by Masashi Kuroki Shonan
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