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『 十一年 』

投稿日:2023/4/20     更新日:2023/4/21

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photo : Masashi Kuroki|coordi : Kimiko Moriya

No.24 Life studio Shonan

 

あの頃二歳だった彼は、桜の花が頬笑む季節に中学校へと入学した。

初めて会った頃からもう十一年が経ったという事実には驚いてしまうが毎年のようにずっと彼の成長を見てきた。

 

十一年

 

幼い頃からの十一年間は人を大きく成長させる。

容姿だけではなく、言葉や知識、それらによる行動や性格、そして生き方。

多くの事を吸収してそれを生き方とする。

彼もそうである。

バイオリンや茶道、その年その年で熱中している事、そして愛犬を愛でる姿まで、たくさんの事が彼を作り成長させている。

そこでふと、自分を振り返る。

「自分はこの十一年間でなにが成長したのだろうか」と。

容姿的には成長というより衰えの方が目に付くが、内面的には何が成長と言えるのだろうかと黙々とお茶を点てる彼の写真を撮りながら思った。

言葉でコレと言えるものはよく分からないが、圧倒的に彼の成長の容量の方が多いのは間違いなかった。

 

しかし、そんな大きな成長を目の当りにしたおかげでこれからの自分が成長すべき部分に気づくことが出来た。

それは「視野をもっと広げ大きく持つこと」。

昔からあまり多くを語らない彼だがそんな彼から言葉なく教えられた気がした。

だから私は彼ではなく、彼を成長させている事の一つを一枚の写真に納めました。

 

彼がお茶を点てる姿を写真に納め、その場でお茶をいただく。

苦みよりも甘みを多く感じるまさに奥深い成長の味がしました。

「結構なお手前で」

飲み干した私のその言葉に彼は笑みを浮かべ、ゆっくりとうなずきました。

この時、彼と私は子どもと撮影者ではなく、一人の男と男として向かい合っていました。

そして、その男たちの姿を見る親御さんたちにも彼と同じ笑みが浮かんでいました。

 

 

Written by Masashi Kuroki   Shonan

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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