PhotogenicShonan

『 風景写真 』

2020/4/20

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『 風景写真 』

photo : Masashi Kuroki

No.24 Lifestudio Shonan

 

 

江ノ島の富士

湘南店から20分少々車を走らせると江ノ島があります。

皆さんもご存知な場所で訪れたことがある方も多いかと思います。

小田急線の片瀬江ノ島駅を降り、江ノ島神社へ向かって行くと長い橋を渡ります。

その橋の途中、多くの人が足を止めカメラやスマホをある方向に向けます。

そのカメラの先にあるのは「富士山」です。

私もだいぶ昔にそこで富士山を撮ったことがあります。

でも、そこには毎年二、三回は行きますがそれ以来そこで富士山を撮っていません。

なぜなら、そこで撮る写真は誰が撮っても同じような写真になるからです。

勿論、自分でその場に行って自分で撮ることに意味があるわけです。

でも何か人とは違った写真をと色々なフレーミングで撮ったりもしました。

頂上と空だけを撮ったり、敢えて富士山を隅に半分だけ入れてみたりと。

ですが、やっぱりそのベストポイントは決まっていて、誰もが自然と納めているその写真こそが最良の江ノ島の富士なんですよね。

これは観光地や絶景ポイントの所ではよくあることで、そのポイントで撮るために列を作って順番待ちをする、なんて事よくある光景ですよね。

「ここで撮るならここだろ!」とか、これもある種の「固定概念」みたいなもので、これを強く感じてしまうものから抜け出すのは至難の業です。

 

 

固定概念と否定

私もこのライフスタジオで写真を撮り続けもう何年もが経ちました。

私たちのカメラが向かうその先にあるのは言わずもがな「家族」。

家族というものは、江ノ島から見える富士山のようにそこから全く動かないものではなく、それぞれに異なりそれぞれの家族像があります。

ですが、「家族写真」として見てみれば、「こう撮るべきだ」とか「これが正解である」などといったある種の固定概念が無意識のうちに私の中に宿っているのも確かです。

固定概念とはある意味マイナス要素が強く感じられるものですが、良い意味で取るならばそれは「鉄板」であるという意味も含まれるのだとも思います。

しかしながら、自分の中に固定概念がある事で、変化し、進歩し、新たなものを産むことの足かせになってしまうとも感じます。

この自分自身の概念というものを払拭するためにはやはり「否定」しかありません。

しかしながら、もう教育する立場になっている自分には否定してくれる人もいなければその機会も少なくなります。

そこでしなければならないのが「自分自身の否定」です。

まず、人から否定されることは誰しもが怖く嫌なものですよね。

否定されることが好き!なんて人はほとんどいないと思いますが、否定されて泣いたり悔しがったりするだけでは否定されたという「現象」に反応しているだけで変化にも進歩にも繋がりません。

そこで、否定をされた時、私はこう考えます。

「あぁ〜そういう考え方もあるのか!」と。

そうすると「今までの自分の意見」そして「新たな他者の意見」それを合わせることで「新たな道」が見出せる、そうしています。

ですが自分自身の否定となるとまた話は変わってきます。

当然、他者の意見は無いわけですから自分自身を否定することはとても難しい事です。

それでも新たなものを産み出したい、産み出さなければならないと感じた時に私は「今までの全ての引き出しを捨てる」事から始めます。

勿論、撮影が実験になってはいけませんが、いつも通りにならないシチュエーションを組み、いつもとは違うアングルから構え、家族写真として撮ろうとしない。こう心がけてカメラを向けます。

 

「ママ〜 今日のお昼ご飯はなに?」

「何にしようかねっ?」

「わたしが作ってあげようか?」

 

食卓に座る二人がそんな会話をしていたかは分かりませんが、私は二人を「風景」として見ていました。

例えるならばそれは野原に咲く花や風に揺れる草木のように。

そう見ることで、丸腰で挑み真っ白になった私の頭のキャンパスに「家族の風景写真」という言葉が舞い降りました。

合わせて、次に進む準備が整った瞬間でもありました。

 

 

当たり前のように出来ていた当たり前のこと。

その当たり前が当たり前じゃなくなった時、人間は「幸せ」に気が付きます。

そう、「何でもない毎日」が幸せだったのだと。

 

そんな幸せに満ちあふれていた何でもない日々が戻って来たその時にはまた

それぞれの家族のそれぞれのドラマを写真に納めたいと熱望しています。

なぜなら、それが私たちの幸せだからです。

 

 

晴れてまたその「何でもない毎日」が戻ったら、私はまず始めに江ノ島の富士を撮りに行こうと思います。

 

 

 

 

                                           Written by Masashi Kuroki    Shonan

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ オムライス作ってあげるね!」

「ありがと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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