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『 そう、黒子のように 』

投稿日:2020/2/20

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                                                                       No.24  Life studio Shonan

                 photo by Masashi Kuroki     coordi by Satomi Sugawara

 

 

 

日々、私たちがご家族に出来ることなんて限られています。

 

それほど多くない。

至れり尽くせり、そして「あぁでもない、こうでもない」としていけば良い写真に繋がるかもしれない。

でも、その行程はどんどん「自然というもの」からはかけ離れていく。

もともとスタジオに来ているという時点で自然ではない。

だけれども「自然なもの」として残したい、そんな矛盾と長い間、毎日肩を並べてその自然なものを追いかける。

時折、その矛盾という奴が邪魔をしてシャッターを切る瞬間に迷いを起こさせる。

自分の横にいるその見えない矛盾って奴はいったいどんな奴なんだ?と横を向くと、細身で少し長髪、そして血色があまり宜しくない奴が立っていた。

「あぁ…俺、か。」

カメラを持っているのは私一人でもファインダーを覗くのは二種類の自分。

一般的にはこれを「葛藤」と呼び、人間であれば誰しもがそれぞれの状況下で感じていることなのだろうけど、私にはその矛盾って奴がただの意識というものではなく、もう一人の見えない自分に思えてしょうがない。

と言うより、ただの「意識」としてしまうと完全に「見えない敵」だから対決のしようも無い。

だから敢えて擬人化することで少しでもその見えない敵を見える敵にする。

そうするとまれにそいつと仲良く出来る時が来るんです。

 

あ、なんだかノイローゼになっているみたいな感じになってますけどそうではないですからね。ご安心を。

 

そう、その矛盾と仲良く出来る時ということなんですけど、それは自分一人の時よりも二人の時に起きることが多いのです。

その一人とは撮影を共にするコーディネーターです。

私たちはご家族のみなさんに「グッ」と近づいていこうと日々努力しています。

なぜなら、私たちが「ご家族に近づくことが自然に近づく第一歩」だと思っているからです。

ですが、近づくだけでは第一歩に過ぎず、そこからさらに進むためには「ご家族から離れる」ということも必要です。

離れると言うか「見守る」という言葉の方が適切でしょうか。

その見守る時のタイミングと温度が重要で、その「見守る」の瞬間が来た!と感じた時に私たちは示し合わせたかのようにスーッと離れて二人を見守りに入ります。

そして二人に声をかけることもなく、ただただ見守る。同じ温度で。

 

 

 

私たちがご家族に出来ることなんて限られています。

そんなに多くない。

でも多くないからこそ、さじ加減が大切なんです。

ライフスタジオを料理に例えるならば、「素材を活かした料理」。

例えば、ジャガイモを茹でて塩をひとつまみだけのそんな料理。

茹でて、揚げて、オリーブオイルとバジルをかけてバターとアンチョビをのせるようなものではなく素材の味を楽しむ料理。

でもその茹で加減と塩のひとつまみの量が絶妙で、素朴だけど忘れられない、また食べたくなる味、そんな味を感じることが出来る写真がライフスタジオの写真なのかなって思っています。

 

 

冬の日差しがあたたかく、親子をふんわり包み込む。

75枚目の写真、映画で言うところのラストカット。

カメラを乗せたクレーンが空に向かってスーッと動き、主人公を写しながらパーンアウトしブラックアウトしていくようなイメージ。

この瞬間、たぶん私たちは同じ温度の微笑みでこの二人を見守っていたことでしょう。

そして「矛盾っていう奴」もこの時ばかりは私と肩を組んで同じ微笑みを浮かべていたんだろうと思います。

次回はパパも一緒に三人で写れれば嬉しいですね。

 

 

私たちがご家族に出来ることなんて限られています。

多くちゃいけないんです。

ただその場にいる私たちが同じ温度でご家族を見守れればそれでいいんです。

そう、黒子のように

 

               

                                                                                     Written by Masashi Kuroki     SHONAN

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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