撮影を通じて人の観察に集中するということは、
対象を人にしているからこそできる行為であると考える。
つまり、被写体を人として見ない限り真の観察ではないだろう。
私なりに被写体を被写体として見ない心得がある。
それは、その人だけの何かを探すのである。
その何かとはその人だけが持っている美しさである。
美しさは人を喜ばせる力を持っている。
だから、その喜びを自分が感じる器というものをもっていなければならない。
その器とは、相手を自分の中に受け入れる心の器である。
その中には固定概念や先入観を含まない。また自分という存在も含まない。
だからこそ、相手の美しさというものをありのまま受け入れられるのかもしれない。
時として美しさは経験や知識という枠ではない、純粋さがポイントになるのかもしれない。
 
今回の被写体は緊張していて言葉数の少ない少女であった。
そういう性格の場合は、その状況だけで人見知りだとは判断しない。
色んなことを投げかけながら彼女の心をゆっくりと開放していく。
無理にではなくゆっくりと少しづつ。
ドレスシーンではあったがポージングを撮るようなシーンよりも
自由な表現がしやすいベットの上に寝っ転がってもらいながら、
彼女らしいしなやかさを引き出しました。
おかげで自由で柔らかい仕草と表情を垣間見ることが出来ました。
観察は終わりがありません。一瞬一瞬の変化が私達へのメッセージだと思い
そのお便りをいつでも受け取れる準備をこちらがいつでも出来ている状態で
お客様との出会いを心待ちにしたいと思います。

Photo by akane ouchi  /  Cordi by ara masaaki
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