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札幌白石店
to photogenic 80
投稿日:2016/9/30
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『お母さん』
人に写真に深く入っていきたい・・・
あなたにとって家族とはどんな存在ですか?
わたしにとって家族とはかけがえのない存在です。
かけがえのなさとは、他のもので代替することができないこと。
また、大切で失いたくない人やもののことを意味します。
私の仕事が何をするべきことなのか?という事を常に考え時には悩みそれでも前に進もうとしたとき、やはり心の支えになっていたのは自分にとって大切な人の存在でした。家族、友人、同僚、仲のいいお客様、そうした私と繋がってくださる人達のおかげで私はここまで一つの仕事を続けてこれていると思います。
そんな人たちの協力があって私はある時気がつきました。
私の仕事は、大切なものを追い求めそれを極力美しく記録してくことだということを。
それは、特別な仕事というよりは人が誰しもそのように生きている、自然な流れの延長上に私の仕事も関係していて、たまたま選択した方法がカメラというツールを用いているという事だと。
大切なものや美しいものに対して正解はありませんが、自分が心から良いと思えるものを常に自問自答することがこの仕事をより極めていくことだとも考えています。それは単純に写真が上手くなりたいという以上にやりがいを感じるものでもあり、時には大きな試練を乗り越える機会を与えてもらっています。
そんな中、どんな方法で自分の主題に向き合い、良い結果に結びつけていくのかという自分なりの方法があります。それは、自分にとって大切な人を記録し続けていくことです。
これは、私の尊敬するカメラマンに教えてもらったことでもあります。
私がカメラマンデビューをしてから何度か両親がライフスタジオに遊びに来る機会があったのでその度に家族を撮影する機会がありました。この写真に写る一人の女性は私の母親です。
娘の私がいうのもあれですが自慢の母親です。そして、この写真はとびっきり良く撮れています。なぜならば、この写真は自分の中にいる母親そのままだからです。
写真を通じてでも、ありのままの母親を映し出せたことが私としては本当に最高の一枚です。
これは娘だから撮れた一枚かもしれません。ですが、それがいいことだと思ってます。
自分にとって大切な人を心を込めて撮影し、自分だけにしか切れ撮れないその人の美しさを記録していくことは、初めにも話したように自分なりの写真論を深めていくことに通じます。
技術的な側面からいうと、背景と被写体の完璧な配合がもっとも特徴だと考えます。一枚の四角に対して、被写体の大きさをどのくらいの割合で入れるのか?それを決定するのは私の価値観が大きく影響します。この一枚は被写体が大きすぎず小さすぎない適切な大きさで配置されています。その黄金比率を生み出せたのは母親が着てきた洋服とアクセサリーの影響が大きいです。緑色と紺色の相性がいいという事は以前色彩理論の本で読んだ記憶があります。
母親がスタジオに入ってきた瞬間、母親の洋服の雰囲気はここのインテリアと相性がいいとすぐに判断したので、迷わずこの場所にたって撮影を始めました。緑の前ボケが母親のもっている強さとしなやかさをうまく包み込むようにレンズと前ボケの距離感もうまく調整しました。
またポーズはあえて指示せず本人の意思に任せました。このような一枚の四角に映り込むものの存在感や関連性をうまく調和させ最終的に表情を引き出す声かけをすることによって母親が母親であることを証明しました。
『お母さん』
この呼び方ができる人は私にとって世界中に一人だけです。
だから私は呼びます。何度も。
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