【　ドレスと暗所と一人の女性　】

その子は何度も来てくれている女の子だと知っていたが初めて撮影に入らせてもらった。
今日はどんな感じで撮ろうかなと頭の中で悩みながらうつむきがちにドアを開け、顔を上げた瞬間
その悩みはすべて拭き飛んで行った。そこにはドレス姿で凛と立つ女性がいた。

この子を一目見たとき僕の中で瞬時にイメージできた。
もう悩んでいたことも忘れた。

いつもはドレスでの撮影はフワフワな、すごくお姫様なイメージをしながら撮影しているが
この子にはそのイメージができなくシックで大人なイメージしか出てこなかった。

普段はイメージが違いあまり使わない紺色の背景を選択。
一度、頭の中でポージングをイメージしそれを身振り手振りで彼女に説明しそれを瞬時にこなしていく様子は子供ではなくもうそれは一人の女性だった。

相手が女性であるからには、男性は紳士でなければならない。
紳士たるもの女性には失礼のないように、彼女のポテンシャルを引き出せたらと思いシャッターを切る。
写真を見せたところ、彼女は普段とは違う自分に心底驚いた表情をしてた。
僕は思った。


　　よかった。


相手が普段とは違う新しい自分を見つけた瞬間は僕はとてもワクワクする。
次はどういう風に撮影したら喜ぶだろう、嬉しいだろうと考えながら撮影する。
そういうことがまた新たな可能性を見つけてくれる。
今回もその可能性を見つけることができた。

ありがとうございました。


photo by nihei
cordinaiter by toshi