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大宮店
7歳の彼。
投稿日:2024/7/6     更新日:2024/7/6
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LIFE STUDIO OMIYA
Photo&Write:zenke Coordi:maeda
この日、7歳の彼は、5歳の弟と一緒に着物を着た。
7歳の男の子。
5歳七五三とは違う。身長も違うし、雰囲気も違う。
幼く元気いっぱい!可愛さいっぱい!の5歳とは違って、時には凛とした表情で。
兄弟揃って撮影をすると笑顔いっぱいの彼はソロ撮影になるとキリッとした表情を見せる。
私は5歳の七五三とは違うライティングで、ポージングで、画角で撮影を進めていった。
和室では正座ではなく胡座で座るように指示し、頬杖をつかせたり、
彼の体の大きさによって、少し小さく見える和室を広く見せれるようアングルやレンズを変えたり。
7歳の彼。凛とした姿。それをそのまま撮るのではなく、その姿を引き出せるように撮影を進めていった。
刀の撮影で室内全体の遮光をし、部屋の一番奥。壁ギリギリにライトをセッティングした。
そのライトとは反対側の壁ギリギリに私が立って広角になり過ぎないところに彼に立ってもらう。
彼をライトから少し離したのは、彼の顔のラインや、刀を持っている手、肩甲骨まで綺麗に光で縁取りたかったから。
彼の高い鼻、口元、顎のラインまで縁取れるように、あえて真横を向いてもらい、刀を見つめてもらう。
後ろに置いたライトが彼の顔、後ろの髪の毛、肩甲骨あたりまで光のラインができる角度まで
カメラの高さを変え、角度を変える。
私が微調整をしている間に、ずっと刀を見つめていた彼が段々キツそうな表情を見せた。
一度私は彼に「目を閉じてごらん。」「いいよ。って言ったら、ゆっくり目を開けて、ゆっくり自分の右手の人差し指に当たってる光を見てごらん。」
と伝えた。
一度目を閉じ、少し呼吸を整えたのを確認して目を開けてもらう。
ゆっくり目を開かせたことによって、「止」からゆっくりな「動」になり、
体の強張りがない自然な表情、ポージングになった。
1回シャッターを切った私はすぐに違和感を感じた。
違う。そうじゃない。
彼の黒の着物、キッズ用の少し大きく重たい刀。黒髪。しっかりした眉毛。長く濃いまつ毛。
7歳の落ち着きがあって凛とした彼の姿。
すぐに私はカメラのケルビンを変える。
もっと青く。静かに。刀の冷たさ。彼の表情。全てを引き出せるケルビンに変え、すぐにシャッターを押した。
5歳の七五三も7歳の着物も、ハーフ成人式の着物も、卒業袴も
一括りにしてしまえば「着物撮影」である。
しかし、それを着ている被写体はそれぞれ個性、魅力がある。
その魅力を最大限に活かせるライティング・ポージング・画角・角度・レンズ・タイミング。
様々なものを利用して、時には応用して、
最大限に引き出したものを1つの四角に閉じ込めるのが写真だ。
「大きくなったね。」
ママさんパパさんから漏れ出す声は、生まれたばかりの小さな彼から
今の姿の彼まで見守っているからこそ、出てくる。
5歳の七五三から成長した彼を。
少し大きくなって、少し大人っぽくなった彼を。
時を止めて切り取る「写真」に残す。
それがカメラマンだと私は感じた。
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