時間はあっという間に過ぎてゆき、
姿かたちはみるみる内に変わっていく。

おぎゃーおぎゃーと元気いっぱい泣き叫ぶきみ。
そうかと思えば、ぐっすりと安心した顔で眠ってしまう。
目に入る全てのものが新鮮で、その瞳は透き通った光で満ち溢れている。
小さな手足をばたばた動かして、無垢な笑顔を見せてくれる。

でも大変なこともある。生まれたばかりのきみはまだか弱い存在で、
調子が悪くなることもあれば、夜通しずっと泣いていることもある。
不安がざーっと胸を覆っていく。ちょっと一息いれたくなるときもある。
でも懸命に生きようとしているきみの姿は、何よりもパパとママを強くするんだろう。

1枚の写真にはきっと、秘められた家族のストーリーがある。
写真を見て何を感じるのだろう、何を思い出すのだろう。

このご家族様との撮影は今でも心に印象深く残っている。
パパさんママさんの感情が私の中にも流れ込んできたようだった。
本当はお兄ちゃんが生まれてすぐに写真を撮りに来たかったけれど、
初めての子育てが大変で、最近になってやっと撮影にこれたこと、
またそれまでに2年という月日が流れていたこと・・・。
それまでの日々がどっと思い起こされたのだろう。
75枚すべての写真を見終わったときには私もホロリともらい泣きしていた。

撮影者として家族のストーリーを知るにはあまりにも短い時間しか与えられていないが、
私たちの仕事はよりそういったところへ近づいていくことなのだと思う。
そしてその限られた時間の中でも家族のストーリーが紡がれていくのだろう。
それがより自然であり、また日常の延長線上にあれるよう、これからの課題として向き合っていきたい。