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【大宮店4月主題・親子写真】やさしい空間
投稿日:2016/5/6
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単身赴任の父に年何度か会えるその時は特別なものだった。
空港の待合スペースで電光掲示板に表示される案内を見ては、
今か今かと背伸びしながら父を待ったものだった。
ガラスのドアが左右に開き、大勢の人が荷物を持って出てくる。
今思えば私の他にも大切な人の帰りを待ちわびる人がたくさんいたはずだ。
でもその時の私には「ぼくのおとうさん」以外、本当にそれ以外は考えられなかった。
背が高くて、ちょっと白髪交じりの短髪で、笑うと目がなくなって顔がクシャッとなる。
鼻の横にある大きなレーズンのようなデキモノはぼくのお気に入りだった。
そんなおとうさんの姿を見つけると、本当はおもいっきり駆けていって、
そして思いっきり飛びつきたいのに、それなのにいつもちょっと恥ずかしくなって
おかあさんの後ろに隠れてしまうのだった。
でも、「ただいま」といって差し出された大きくて厚みのある両手を見ると、
恥ずかしかったことなんてもうどうでもよくなって、ありったけのダイスキでその懐へ飛び込んだ。
ぎゅっと抱きつく背中に感じるおとうさんの力強くて優しい手の感覚。
そして見上げたそこには、ちょっと恥ずかしそうに笑うおとうさんがいた・・・。
やさしい瞬間だった。
ちょっぴり不安げな顔を見せたボク君の手を、大きな手が包み込む。
大きな手から小さな手へ。
安心しきったその顔は、そのやさしさに答えるかのように、
ただまっすぐに無垢な笑みを向けていた。
そしてそんな時、兄はその横で遊びに夢中になっているのであった。
Photo by ueda
Coordinate by saito
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