Photogenic
大宮店
コーディネーターとしての役割
投稿日:2014/11/15
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2年ぶりの再会。
あの頃は2才だった彼女も、4才のお姉さんに成長していた。
2才のあの頃も、笑顔の中に時折見せる瞳が印象的な女の子だった。
妹と一緒の時は、気構えることなく自由だった。
1人になった途端に、人見知りが激しいという彼女の個性が現れた。
特に男性が苦手ということで、カメラマンに対しての緊張が一気に伝わってくる。
コーディネーターとしてその不安とどう向き合うか。
自分の立ち位置、カメラマンと彼女との関係、彼女のどんな姿を写真として残したいのか…
いろいろな思いが頭を巡る。
今にも泣き出しそうな彼女に、時々傍で見守りながら自分が入るタイミングを探す。
撮影中、カメラマンをじっと見据える彼女の強いまなざしが、とても印象的だった。
長くストレートの黒髪。眉毛の少し上を綺麗にそろえられた前髪。
そして、彼女の強いまなざし。
ドアの格子の縦のラインとその延長にある柱に背筋をピンと伸ばした彼女の存在感。
そして彼女の背後からの光、逆光により顔の右半分の色が落ち、彼女の輪郭を際立させ、さらにその強いまなざしを強調しているかのように思える。
また、カラーでもモノクロでもなくセピアで表現することで、ドレスに大きな髪飾り、ネックレスに花束という衣装に加え、クラシックな印象とアンティークな高級感を持たせている。
この写真を見た時、撮影中にも感じた彼女の強いまなざしに惹きつけられた自分がいた。
彼女のまなざしの先にはカメラマンの存在があるのであるが、彼女の先にあるもの、内面、全てを写し出しているようだった。
被写体との距離と関係性。
撮影の中では、被写体とコーディネーターとの距離、関係性、そしてカメラマンとの距離、関係性が同時に存在する。
そこでいつも自問自答することがある。
今はどこに重点を置くべきなのか。
自分と被写体との距離と関係性を深めていくのか、それともカメラマンと被写体との距離、関係性に集中するべきなのか。
または2人同時に被写体との距離と関係性を作っていくのか。
それによって自分の立ち位置は自ずと変わってくる。
コーディネーターの役割とは何か。
時には被写体とカメラマンとを繋ぐ架け橋になることもある。
時には身をひそめ、カメラマンと被写体との空間を作り出す必要もある。
結局はカメラマン、被写体、コーディネーターとしての自分自身も含め、撮影に関わる全ての人(物も)を「知り」、そして「集中」することが重要なのだと思う。
カメラマンはどんなイメージで写真を残したいのか。
被写体との距離、関係性はどうか。
そして撮影の中で、その距離と関係性はどう変化していくのか。
そこに集中しながら、自分自身の立ち位置を考え動いていく。
男性であるカメラマンに明らかな緊張と不安をみせていた彼女。
泣き出す前のギリギリのところで自分が入り、彼女の不安を軽減したり、時にはカメラマンと彼女のやり取りをそっと見守ったりする。
この写真はそんなやり取りの中で生まれた一枚である。
この後、彼女は少しずつ男性であるカメラマンに心を開いていき、最終的には不安など一切ない笑顔をみせてくれた。
彼女の不安が消え去った瞬間、カメラマンとの間に入り、不安を軽減するといった役割は、カメラマンとの関係の中で楽しくなってきた彼女の姿に合わせて、盛り上げるという役割に変化した。
彼女のまなざしの強さに惹かれたからこそ、自分が入るタイミングを最小限におさえた。
後に変化するだろうカメラマンとの関係性を想定して。
コーディネーターの役割とは何か。
そんなことを最近よく考えている。
そしてその問いには完全な正解などないということに気づかされる。
だからこそ問い続け、考え続ける必要があるのだと思う。
そして、カメラマン、被写体が変われば、コーディネーターとしての役割もまた変化し続けるのだと思う。
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