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水戸店
hommage
投稿日:2019/12/30
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この一枚。
「あれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう。水戸店に鈴木さんがいた時の写真のhommageになります。
私が入社する前、水戸店のフォトジェニックのページを見て一目惚れした一枚がありました。
それが鈴木さんの作品。
「できることの感動」
まだこれから面接だという時にこれを見たので
私の中の写真館のイメージが良い意味で壊されたのを覚えています。
入社しアシスタントの期間を経て
「この1枚を真似してみたい!」
なんて思ってオーナーの幹子さんに聞いてみると
「あー!あれ!昔の京成百貨店の時の機材で今はないの〜!」
それっきり私の中のどこかで「諦め」と「憧れ」としてそっと胸にしまっておこう。そう思っていました。
それから時が経ちました。
今月出会ったご家族との撮影中にママから
「あ!水戸店のホームページのフォトジェニックという所見させていただいたのですが、赤ちゃんの!モノクロでかっこいいやつ!あんな感じの1枚も欲しいです!」
思わず私も大興奮。
「えっ!あの照明前の赤ちゃんが手を上げているやつですよね!私も入社前に見てあれ大好きなんです!」「でも、あの機材…。」まで言い掛けたところで私の中で全力でやってみようのスイッチが入りました。
「でも、あの機材は昔の店舗にあった物で、今は無くなっていて撮れないんです」
なんて言って逃げていつまでもやらないのは簡単だけど、カメラマン失格だなと。
そして私が言ったのは
「でも、あの機材は昔のもので全く同じ作品は撮れないのですがあの作品くらいカッコいい1枚撮れるよう全力尽くしますね!」
(あ〜!言ってしまった〜!)
なんて思いましたが
だからこそ頭を使い頭の中のアドレナリンが沢山出てめちゃめちゃ楽しかったです。
この一枚を撮る前にもう一度作品を見てからやるとなると真似をしようとして中途半端な作品になってしまうのはやる前に気づいていましたし、そしたら私の作品じゃなくなるじゃないか。
そう思い全て脳内の記憶と私のアレンジを付け加えました。
まず家族写真などでよく使う長椅子を置き
その上に移動型のライトボックスを横に倒して載せました。
今までこんな事やった事も無かった上に閃きもしなかったです。
そして機材のコードが波打っていたのは覚えていたのですが機材自体がないので一般的なご家庭でもお馴染みのごく普通の延長コードをインテリアのラジオの後ろに隠しました。
これがあるのと無いのとでは奥行きが変わってきます。
そして手をあげる理由付けとしてシャボン玉を拭いてもらいました。
ここまでは私がセッティングしましたがそれだけではこの一枚は完成しません。
被写体の男の子。終始とてもご機嫌でとっても癒されたのを今でも覚えています。
この一枚を作る上でパパママの協力の元
「椅子の上に座ってもらって危ないと思ったらカメラ関係なく手を出して支えてあげてください。」という緊張感が走る現場でした。
するとこの赤ちゃんが自ら左手を椅子の部分にかけて支えていたのです。
私はその手を見た時に「生きる強さ」を強く感じました。
この1枚を撮り終えた時に
「これはただ真似したんじゃなくて、私とアシスタントの仁平と彼とパパとママみんなで作り上げたまた別な1枚なんだなぁ。」
そう思えました。
「赤ちゃんだってかっこよく。」
2年ほど前に鈴木さんに相談した事があります。
「自分達がこれはいい!と思って作り込んで撮った写真ってお客様は望んでいるのでしょうか。ニーズに合わせた奴だけの方が良いのでしょうか。」と聞きました。
すると鈴木さんは
「じゃあかず君が凝って撮った1枚って結果どうだった?喜んでくれたでしょ?ほら、答えはもう出てるんだよ。」
鈴木さんは覚えていないかもしれませんが何気ないこの一言がずっと残っています。そしてその言葉のおかげで今の自分がいます。
これはただの真似事ではなく。
尊敬する鈴木さんの作品に対する
みんなで作り上げたhommageです。
被写体の男の子も、協力してくれたパパも、諦めや憧れで終わっていた私をチャレンジさせてくれたママも、必死にシャボン玉拭いてくれた仁平も。みんなの思い出に残るお気に入りの1枚になってくれたら良いな。
photo by Kazuki
coordinater by Nihei
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