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越谷店
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写真と人~五明和真~

投稿日:2016/11/29

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偶然なのか。今思えば必然だったのか。
彼と出会ったのは彼が湘南店に初出勤したその日だった。
もう4年ほど前だ。

その頃私は本社の中で「湘南プロジェクト」を担当しており、週に二日、越谷店から湘南店へと勤務していた。

私は湘南店のスタッフでもないし、彼の初出勤がその湘南プロジェクトの最終日だった。

そんな日に共に仕事をしたのが初めての出会いだ。

 

彼は初出勤でいきなりほぼ1人で撮影に入れられ、私の無茶振りに応えるべく子供の目の前で

横隔膜をうならせ大声量で歌い始めた。それが役者仕込みだと知ったのは撮影の後だったが、強烈な声量だったのを覚えている。

わずか1日の出来事ではあったが、黙った子供を目の前にして屈しない彼を見た時「彼はきっとうまくいくだろう」と

確信した事は今思い返せば間違いではなかったようだ(笑)

 

あれから4年、まさかこうして店舗や組織について共に悩み考える日が来るとは考えもしなかった。

それくらい、間の約3年ほどはほとんどと言っていいくらい関わる事が無かった。

 

そのせいか主観的な感覚にはなってしまうがこんにち彼と共に働くまでに感じていた彼の印象は「少し利己的な人なのかな?」というものだった。

たまに会議や飲み会などで会うぐらいだったせいか、そうした時に彼は自分の考えを強く持っていて

それを曲げない個性をもっている印象があったからかもしれない。

一緒に働いた事が無かったので少ない情報で判断したに過ぎないが、討論での対話内容などからそう感じたのだろう。

 

2015年にも一度越谷店で共に仕事をする機会があった。

立場の違いや私のような邪魔なベテラン(笑)がいたからかもしれないが、その時の五明さんはどちらかというと学んで

受け取っていくスタンスだったような印象だったので特別に彼に対する感想やイメージが強く変わったりするわけではなかった。

どちらかというと気楽な付き合いが多かったように思う。

情けない話だがゲームセンターで皆でレースゲームをした日々は2015年に共に働いた越谷店全員にとってのハイライトだろう。

しかし今、数ヶ月だが共に働いていて彼の印象は変わった。

彼は今「誠実なリーダーであろうとする」人へと変わろうとしている。

 

2016年7月末、共に働く直前に話をした時だった。

秋葉原のラーメン屋で話をしながら(ポケモンGOを一緒にやることが目的ではもちろんなかったが)

彼が誠実に店舗運営をしようとしていること、そして仲間と共に成長していきたいと考えている事を知った。

印象的だった彼からの言葉は「まずは自分が率先してやろうと思うんですよね」という一言だった。

 

こうして彼の考えをスタート前に知る事はできたが、その当時私はあまり鵜呑みにはしなかった。

今だから言える事ではあるけれど・・・理由はある。

なぜなら理想と現実はいつも一致しないからだ。

自分がリーダーを始める前は「仲間のため」といった理想のリーダー像を語る人が多い事を私は老獪のような経験則から知っている。

しかし実際にやってみると何ヶ月も経たないうちに権力を持った自己中心的な行動へと変わっている事が多いのだ。

 

大変失礼な話だがもともと彼に対して「少し利己的?」という印象を持っていた私は自分の感覚を

疑うために五明さんを少し見守っていく事を決めた。

 

そしてすぐに心境の変化は起きた。

私の見守る姿勢は、彼の誰よりも率先して動き続ける姿勢を目の当たりにして

一ヶ月も経たないうちに「共に盛り上げたい」という姿勢へと変化していく事になったのだ。

 

ある日、撮影のスケジュール決めをしていた五明さんが自ら双子の撮影に入る事に決めた。

まあそれくらいならやってもおかしくはないが、次の日も、その次の日も・・・。

時には3兄弟、4兄弟、犬・・・。

その後彼に「ツインズマスター」という異名もつくぐらいに。。

またある日、分業制にしている店舗報告書の誰かのパートに足りない部分があった。

それを見た彼は何も言わずそっと付け足し提出された報告書は完成されたものが提出されていたし、またある日はワンポイント会議で指摘を受けた汚い床を1人で黙々と吹いている姿を目にした。

 

大きな事では無いが、誠実さとは目の前の小さな事に現れるものだ。

彼のモットーは「まずは自分がやる」事。

それを体現し続けられるというものは本来持つ性格ではなく「誠実であろうとする」自分に対する

「規律」がゆえの行動だ。

 

本質的に誠実であるという事は私の中では重要ではないと考えてる。

根っからの「いい人」になる事は神様でも無い限り不可能だ。

本当に重要なのは「誠実であろうと自分を律する事」だ。

 

それからも店舗運営をしながら「誠実なリーダーであろうとする」姿勢は随所に発揮された。

共に働き始めた8月からは自立経営店舗の基盤作りが盛んに行われ、やらなければならない事が目白押しだった。

皆が何をどうしていいかわからず前に進む事に苦戦する中、彼はわからないながらもみずからを投げ出し

とりあえずやってみようという精神で形を作ってきた。

 

本当に彼を見ていてすごいと思ったのはこの部分だ。

どこからそのアイデアが生まれてくるのかと思うほど期限までには何かしらの形を作って持ってくるのだ。

これがあると無いでは店舗の仲間の進行具合が断然変わってくる。

これは一種の店舗運営の核心部分でもある。

 

民主的であろうとするライフスタジオの横的な関係性作りは良い部分が多い反面

リーダーシップが欠如する可能性も秘めている。

責任が明確化されない横的な関係は、やらなければならない事を期限までにやらなかったとしても

「みんなの責任」という事で片ついてしまうデメリットを含む。

五明さんは特別に「店長」や「リーダー」といった役職を与えられたわけでもなく

今までの仕事でもリーダーの役割をしてきたわけでもないにもかかわらず

自らがたたき台を作りベースを提示してから細かいディテールを詰めていく方法は

どう進んでいいかわからない仲間に対して道しるべとなり、よくあるわからなくてガスがたまる現象

を軽減する精神的な安定とやる気の維持を担っていた。

店舗運営をするなら当たり前かもしれないが、意外とできないのもこの部分だ。

リーダーもガスがたまるし、ネタも無くなる。

他の皆と同様にガス欠になればそこで店舗はストップする事を周知している行動だった。

 

TEDという商品プレゼンの大会の準備で突然動画内容のシナリオ台本を数ページも作って持ってきた時は

「この人の1日は何時間あるんだ?」と驚愕したほどだ。

そうした彼の「誰よりも先にやる」という考え方に私は動かされた。

 

「自分のために、そして誰かのために、行動しよう」

秋葉原で一緒に決めたこの言葉を見事に実践していた彼を見て、私は自分を省みて少し恥ずかしくなった。

 

私は彼が埼玉に呼ばれた理由がそこにあるのではないかと思っている。

直接社長に聞いたわけでは無いので違うかもしれないが、わたしが思うに彼の誠実であろうとする姿勢が

ライフスタジオという多数の群衆の中で特別な匂いを醸し出していたのだと思う。

他の誰でもなく彼が越谷店に呼ばれたのはくじ引きのような偶然ではないはずだから・・・。

 

彼の誠実であろうとする姿は後輩に寄り添う姿にも表れている。

同僚に任せた仕事を見守るのは先輩の当然の義務だが、当然と言いつつも自分も仕事が多いだけに中々手が回らないのが現実だ。

同僚の中々うまい方向に運べない仕事ぶりを見れば色々な感情がこみ上げてきそうなものだが、彼の手を差し伸べ続ける姿には

家庭を持っているから時間が無いと嘆いていた私自身を見直させた。

 

私が共にいたこの数ヶ月。

五明さんが運営してきた越谷店は「うまくいっている」と思っている。これも私の老獪な経験からだが(笑)

そしてこれから彼が運営していくであろう店舗もうまくいくと思っている。

そう思わせるのは彼の「誠実であろうとする姿勢」とうまく組み合わさって彼のある性格が作用するからだ。

 

越谷店の分類室に来た事がある人なら感じた事があると思うが、部屋が静かな事がほとんどない。

ましてや言い合いなどの不穏な空気が生まれる事などほとんど無い。

 

かといって怒りもしない平和主義者なわけでもないし、常に笑いを狙うギャグマシーンでも無い。

そう、彼にはキャラクターがある。

周りを重くさせず、時に自分を卑下しながら相手に必要な事を伝えられる、伝える事が許されるキャラクター。

「ばかやろう~」と同僚を怒っているにもかかわらず相手が笑うのは彼の本来持ち合わせている部分がそうさせるのだ。

 

正直、彼が誠実かどうかはまだわからない。

というよりはそれが重要ではない。

彼が誠実であろうとしている真正性を感じる姿こそが重要だと思う。

 

時間の大半を仕事に費やし、旅行先でも職場に電話をかける姿は典型的な日本人かと思うくらい心配になるが

少しやりすぎなくらいが今の彼には似合っているのかもしれない。

 

五明さんを見ていると自分の在り方を見直させる事が多くある。

店舗運営に疲れ自分の限界を超えられずにいた私にとって彼の存在と行動は

迷い込んだ霧の中から少しずつ晴れ間を見つけていくような道筋を見せてくれるものだった。

 

2017年、また別々の店舗になる。

しかし、もっと大きく重要な場所を共にする。

この時期に共にできた事を感謝し、来年、同じ立場でこの会社の未来を創造する関係でいつづけたい。

五明さんはそう思える仲間である。


「これまでは別々に、これからは一緒に・・・」

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