残す。

スタジオで写真を撮るカメラマンはみんなそうだと思いますが、スタジオで写真を撮る時に常に意識していることがあります。それは家族の大切な瞬間だったり、子供の可愛い仕草だったりします。お子様の仕草を逃さないようにずっとファインダー越しの動きを見てその子らしい瞬間を切り取ります。私たちが動きを誘導したり、ポーズをお願いしてやってもらうこともありますが、出来るだけその仕草を綺麗に残したいと思います。
その写真を後々見た時に今この瞬間を思い出せるようにと願いながら。
私は私が小さい時の写真を見るたびに思うことがあります。写真を撮る仕事をしているからかもしれないですが、多分みんなも自分の幼い頃の写真を見ながら思うことはあると思います。自分が笑っている写真、遊んでいる姿、ママに抱っこされている写真、鏡越しに私を撮っているパパの姿。写真1枚にはいろんな情報が入ってあって、それを見ながらそのときを思い出します。私たちが撮る写真も何年後見たときにそうなると思っています。

この写真に写っている男の子を3年間ずっと撮っています。毎年成長している姿をみると親でもないけどうれしい感じと今年も会えたという喜びの感覚を感じます。今年この子の今の姿をよく表現できる一枚は何だろう。考えながらシャッタを切りました。

今までやったことないポーズをお願いしたり、最近のマイブームを聞いたりして撮影を進めていきます。サングラスを掛けてまっすぐカメラを見ているこの写真を撮るとき、何も頼んでいないのに足と手を自然に自分が楽なように動いていました。そして少し斜めになっているサングラスも。カメラの前で自然にいる彼を見た瞬間、この瞬間を残したいと思いました。