PhotogenicIchikawa

一度きり。

2019/3/31

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カメラマンは、撮影前に空間の整理を行い、小物を用意し、準備ができてから撮影をスタートさせますが、今年3歳になったばかりの彼は、初めから可愛さ全開の、彼なりの彼らしいスタイルで、撮影がスタートしました。

写真に写るこの瞬間。

カメラマンが準備をしていた撮影スペースではなく、1つ前のシーンで使用していた空間に彼が、撮って~!というように、自らこのポーズでスタンバってくれました。

そのとき、私は自分の考えの固さに気づかされました。

1人1人の子供の、“らしさ”を表現したいと言いつつも、毎シーンごとに撮影スペースに衣装を変え、ある程度使う小物もこちらで、設置するようにしています。

もちろん、カメラマンとしての75CUTの構成が必要であったり、撮影の方法は決まってはいますが、全てが全てそうである必要がないのだということです。撮影中、何が起こるのか予測をしていても、ほとんどが思い通りにはいきません。

それが、撮影としての面白いところでもあります。

空間の準備をすることはもちろん大切ですが、その反面、ここで撮影をしなければいけないという、枠にはめこもうとしている自分がいることに、気づかされたのです。

枠にはめてしまうことで、その子のその子らしさが見失ってしまうことにもつながるのではないかとも思いました。

彼が自らスタンバってくれた時、あまりにも予想外の展開だった私は夢中でシャッターを切っていました。

カメラマンとしてもわくわくするような感覚は、面白いもので、新たな発見をもたらします。

カメラマンが被写体に真剣に向き合い一つになった時、そこには予想もしていなかった瞬間に出会えるのかもしれません。

 

自らのうつ伏せの状態から足を曲げ、口を大きく開けた中に、小指が入っちゃってる仕草が、1つ彼の持つ可愛さであり魅力です。

その彼の表情に注目が行くように、圧縮した写真でもあります。

そして、顔全体をサイド光によって凹凸部分を表現し、また、うつ伏せをした状態が顔から足にかけてぼかしがかかり、白い空間の撮影でも、立体的に写し出しています。

写真を撮るうえで、光や構図、角度なども重要ですが、何よりも彼自身から表される1つ1つの動きや仕草、表情が全ての決め手になることには違いありません。

 

その時のその瞬間というのは、一度きりです。

これからも、たくさんの一度きりを残していきたいものです。

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