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市川店
笑顔の関係
投稿日:2018/8/23
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歳の近い二人姉妹の関係は、人間関係のなかで一番複雑なのではないかなと思います。友達よりも気心が知れているからこそなんでも話すだろうし、何をするにも、どこかに行くときも一緒。同じ血が通う仲だからこそ関係は離れず永遠なものなのです。
ときには一番の理解者であり、一番の比較対象にもなる姉妹の関係ですが、その中には親しみや羨望、嫉妬、感情との想いがからまる…そのような複雑な関係なのかもしれません。
私にも2つ下の妹がいます。
性格や考え方も真逆で、隣で歩いていても姉妹に見られないくらい似ていない姉妹です。そんな妹とも昔はよくケンカをしていました。だんだんとお互いが成長していくにしたがって、姉(私)の力でねじ伏せてしまうことが多くなってしまい、いつからか妹は私にかなりの気を使うようになっていました。
そんな妹とあまりにも、すべてが違いすぎて…姉としての変なプライドが先行し、妹が持つ良さをずっと見いだせずにいました。妹の悪いところを見つけては自分とは合わないと決めつけ、毛嫌いするようになってしまったのでした。
そんなわだかまりも消えないまま、離れ離れで生活するようになり、妹との会う機会も少なくなると、ふと妹を思い出すことが増えるようになってきたのです。
妹が20代前半ごろ自分で見つけてきた初めての仕事に向き合う姿が私はとても印象に残っています。
そのころ数か月ほど一緒に住んでいるときがあり、そこで彼女(妹)のすごさを初めて知ったのでした。片道1時間半ほど掛かる仕事まで毎日通いながら、帰ってきては夜遅くまで与えられている仕事に対しての予習と復習をし、休みの日でも会社の電話を持ち歩き対応している姿に、妹のすごさを感じたのと同時にここまで妹は成長していたのかという、衝撃にかられました。
それからというもの、妹への見方が徐々に変わっていったのを覚えています。
後から知った話ですが…
私が妹に対してとても冷たくあしらってきた期間の中でも妹は決して、私のことを悪く言ったことはありませんでした。むしろ、ずっと私のことを尊敬してくれていたのでした。あれだけ妹に対して嫌なことをしていた私でしたが、妹は昔から今もずっと、周りに姉の話をするときの妹の姿がいつも嬉しそうだと、共通の友達から聞ききました。
それを聞いた時は、なんてことをしてきてしまったのだろう…と反省しつつ妹に謝っては許してはくれないと…悲しい気持ちになり、ずっと泣いていたように思います。
今はお互い大人になりましたし、近いところに住んでいるということもあり、月に1回は必ず会うようにはしています。そこで私は妹へいろいろと日ごろの思いをぶつけては、妹に正され…という今となっては姉と妹の立場が逆転してしまっているのではないかと思うほど、妹の方がずっと大人です。
姉妹の関係は特別です。
切ろうと思っても切れない関係です。親に対する感情とはまた違ったものです。
絶対に離れない関係だとわかっているから、たくさんのケンカができるのかもしれません。ケンカをして気持ちが離れてしまっても、最悪縁を切ることはできませんし、切れません。私たちの帰るところがそこしかないからです。何をどのようにしても、繋がっているのですから。
そこの関係は深くて複雑です。妹と付き合ってきて26年になりますが、今やっとほんとの姉妹の関係になってきたのかもしれません。
前置きが長くなりましたが…
今回の写真はそんな姉妹が持つ、お互いの関係性を引き出してくれていると思います。
2ショットでよく見られるショットですが、関係性が創り出すこの笑顔には深いものがあると考えます。初めは一人の撮影から始まり、まったく話さなかった子でも2ショットで兄弟(姉妹)の撮影になった途端、急にテンションが上がりだし、本来の姿を目の当たりにすることは少なくありません。
それほどまでに、安心する存在でありながらいつもの姿を2人がいるからこそ、こちらがカメラを構えていようと自然と出てくるものなのです。いつもの存在が隣にいてくれるだけで、普段と違う空間を普段の当たり前の光景に塗り替えてくれる…そのようなことができるのは、お互いの関係が生み出すものではないでしょうか。
この笑顔もそうです。1人で出すことができない笑顔だと思います。その笑顔を一瞬で引き出す関係こそがこの姉妹の中に存在しているのでしょう。
光の前に彼女たち2人を配置し、そこで鼻を近づけていただくよう指示をしています。彼女たちがお互いの肩や腕を取り合っていますが、それは指示したものではありません。自然に成された姉妹の形であります。前ボケには、サンキャッチャーと葉っぱを使い、画面いっぱいでトリミングした写真になります。より彼女たちの表情に集中できるように意識をしました。同じ衣装に同じ小物を使うことも姉妹としての在り方を見せる一つの部分だと思います。
今回この写真を分析する中で様々な感情が行き来しました。
写真に深く入りながら、自分の姉妹の関係を再確認できた時間でした。
しかし撮影の中で被写体に深く入りこみ、瞬時に感じとることができたら、写真に集中する観点がもっと変わってくるのかもしれません。
Photo:YOSHIDA
Coordi:SB-KIM
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