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色あせない

投稿日:2016/11/28

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光を明暗ではなくグラデーションで捉える。
 
光は私たちに何を与えてくれるのだろうか。
 
光は物事の成立と法則と原則をつかさどり、私たちを私たちたらしめる。
 
写真で何かを表現しようとしたとき、私たちは光を使う。そしてその光のグラデーションを使うことで表現できるもの。それがモノクロ写真である。
 
モノクロは色彩と言う現実の目に見える認識から私たちを遠ざけ、被写体の内面に近づく道筋を立てる。
普段の認識と言うレベルの物事に対する姿勢から、情報の集中を行う事により被写体への壁を取り払う。
 
写真を見てみよう。
 
今までの考えであれば私たちの求めるものははつらつとした眩しいほどの肌の色と目の輝きを色彩豊かに表現しようとするだろう。
色彩はより現実に近く、ダイレクトに伝わる。

しかしその方法をとらず光のグラデーションで、なおかつ写真の枠の中で3方向をインテリアで囲い、さらに表情に目の輝きを増す効果を生んでいる。
背景は白を基調としたグラデーションだ。

3方向を囲い、1方向から来る優しい光を充満させ、その光が両方の頬と組んだ腕を包んでいる。3方向の囲いもぼかしつつ、
情報の遮断に効果的だ。情報を一点に集中させ、被写体のしぐさと表情がカメラマンの表現したい、そして被写体の最も輝くポイントであることが分かる。

腕を組み、帽子をかぶることで白い歯や、意思の強そうな眉、輝く目、まだ幼さが残る肌の質感、内面から湧き出る生命力、一瞬でこの写真を見る人は彼女のとりこになる。
 
もう一つ被写体を輝かせるポイントはしぐさと表情である。
 
台の上に本のインテリア小物を置き、その上で腕を組み、顔を乗せ微笑んでいる。腕の組み方も体を抱え込むような深い腕組をしている。
これは指示をしないと日常的にやるしぐさではない、カメラマンやコーディネーターが話しかけながら美しさを作り上げたのだ。

そしてカメラをまっすぐ見るその視線。

それら一つ一つが合わさり科学反応を起こすことで、被写体の輝きを四角の中に収めることに成功した。

そしてモノクロにしたことで除法を絞り一つ一つの条件が重なり、永遠に色あせることの無い時を鮮やかに残している。
 

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