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ライフスタジオ所沢店プロジェクトP.O.P
投稿日:2017/11/7
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ライフスタジオの次の写真とは何かを見つけようという目標に向かって
関係を作りながら自分たちを取り巻く全ての構成要素を再設定していこう
P.O.P~For unseen you: Satsuki Kudo~
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write & photo by Hiro
P.O.P
~For unseen you: Satsuki Kudo~
今回のP.O.Pの主題は「存在と存在者」。
写真人文学の中に出て来る内容で、写真が芸術になるかならないかという問いに挑む上で、重要になっている考え方とされている。
自分たちが写真と向き合う時にもとても大きな助けとなる考え方だろう。
詳しくは工藤さんがブログで解説をしているが、簡単にそれぞれをまとめると、
存在者とは、
目に見えるもので、実際に存在しているものそのもので、誰がどう思おうととにかくここに存在しているもの。
存在とは、
目に見えないもので、人の主観によって規定されるもの。
実際にその人がどうであれ、見ている人に何かを体験させ、意味を持たせるもの。
と紹介されている。
言い方を変えると、本質と現象、内容と形式という関係にも似ている。
存在者は、誰かの主観を除いたそれそのものであり、存在者は誰かの主観から見えるそのものの本質の側面だと自分は解釈している。
今回はその存在と存在者という主題の元、P.O.Pを行なった。
被写体は工藤さん。
そして、撮影場所は京都で着物。
この条件でどう主題に取り組むかを考えたが、始めなかなか取り組み方が思いつかなかった。
存在者からどんな存在を写真に写し出すのかというのは、第一回目で主題にしたアウラの再構成と同じようなことで、取り組み方も同じ内容になってしまう。
ましてや今回は京都で着物の女性という強いストゥディウムありきの撮影だったため、どうしても工藤さんという存在者から存在を見つけることと繋がりにくかったのだ。
そんな中、ただの着物撮影にならないように話し合う中で、一つの取り組み方が見えて来た。
アウラの再構成では、自分が思うその人のアウラを規定して自分で条件を作り、いかにその被写体のアウラの再構成をして写し出すことができるのかを行なったが、今回は逆に既に決められた京都・着物・女性という条件で撮影を行うことで被写体のどんな存在が写真に写し出されるのかという試みだ。
自分のフィルターから発見する被写体の存在だけでなく、外的な要因によって新しい存在と出会うことができる可能性が写真にはあると思った。
今回の被写体の工藤さんは、僕がライフスタジオに入ってから一番一緒に時間を過ごしている人だ。
越谷で2ヶ月、そして新しく始まった所沢に一緒に来て1年くらい。
カメラマンデビューの時も指導してくれてり、理念や哲学の話をしてくれたり、ライフスタジオでの僕を構成するものは、工藤さんからもらったものがたくさんあると思う。
だから僕の中での工藤さんの存在は、ライフスタジオの工藤さん。
一番一緒にいたと言っても、ライフスタジオという枠の中での時間がほとんどだ。
ライフスタジオの工藤さんというのは、工藤さんが持つ本質の一つの側面だろう。
工藤さんは仕事に対してすごく素直に向き合っていて、言動一致、心からそう思って仕事をしていると感じることが多い。
僕が仕事に対して持ちたい姿勢だけどなかなかできないことなので、工藤さんのそういう姿は本当に尊敬している。
でもそれは工藤さんの一つの側面で、僕の知らない工藤さんの側面はたくさんあると思う。
本当にプライベートな工藤さんってどんな人なんだろう?
そこにどんな側面があるのだろう?
普段着ない着物を着るというのは特別な状況で、しかも場所は京都。
今回はもちろん撮影のためという状況ではあるが、プライベートだとするれば、友達や家族、恋人と京都に遊びに来て、せっかく京都に来たから着物を着てみようという状況だろう。
そういう条件の中だからこそ、ライフスタジオという枠では出会えない工藤さんの存在と出会えたらいいなと思った。
だから撮影もカフェから始めることにした。
京都らしいお寺とか石畳とかも着物に合って素敵だけど、なるべくプライベートな環境に近づけるように友達や恋人と遊びに来た時にカフェで一息ついてるようなシチュエーションから始めたかった。
撮影の時の声かけもいつものスタジオでの関係とは変わるように意識してみた。
普段僕もプライベートで大人の撮影もするのだが、その時は被写体にけっこう素直に素敵とか綺麗とか可愛いとか伝えながら撮影している。
でも近い関係の人ほど素直になるのは難しい。
工藤さんとは普段近くで仕事をしているので撮影でも綺麗とか可愛いとか言うのはちょっと恥ずかしいんじゃないかと思った。
だからまずは自分のライフスタジオでの関係という枠を超えるために素直にたくさん伝えながら撮影してみようと思った。
けっきょく着物を着た工藤さんを見たら素直に素敵だったので、意識しなくても周りのメンバーからキモいと言われてしまうくらい綺麗とか可愛いとか連呼してしまう結果になったが…(工藤さん、不快な思いさせてしまっていたら申し訳ありません。。。)
あと、ただプライベートな工藤さんを表現するのではなく、工藤さんの新しい存在を美しく表現したいと思った。
着物というのは女性にとって特別なものだろう。
日本の女性の美しさを引き立たせるために長い年月を重ねられたものであり、日本の美の象徴と言えるものだ。
そんな着物での撮影なので、普段仕事で工藤さんが見せてくれる魅力とはまた違った、工藤さんの中の女性としての美しさを写真の中に写し出したかった。
そしてもう一つ、この撮影には目的があった。
それは工藤さんの中の着物撮影に対するイメージを払拭すること。
着物での撮影が決まった時、工藤さんは成人式の時の着物撮影が苦痛だったし嫌な思い出しかないことを何度も話してくれた。
本当にトラウマのように嫌な思い出なんだろう。
今回のテーマ~For unseen you~、まだ見ぬあなたというのは、工藤さんにとってもまだ見ぬ工藤さんであり、この着物撮影でのイメージを払拭して、工藤さんにとってもまだ見ぬ工藤さん自身に出会えればいいなと思った。
見る人によって評価や意見は違うだろうが、個人的には写真を見返してみて、いつものスタジオでの関係を通して見る工藤さんとは違った工藤さんと出会えたのではないかと思う。
写真を通して新しい存在と出会うことができる、これって写真が持つ大きな力なんだろう。
撮影後に工藤さんは、ライフの人に撮影をしてもらえば着物撮影も大丈夫だと思ったと言ってくれた。
出来上がった写真を見てまたどう思うかはわからないが、今回のP.O.Pが工藤さんにとっていい思い出になってくれればいいなと思う。
やっぱり人はたくさんの側面があって、その側面によって関係性も変わるんだなと思った。
改めて考えるとなんだかんだ工藤さんとサシでご飯行くってあまりなかったなと。
工藤さん、前に二人で勝ち取った商品券(どこかにまだあるかな…)で今度ご飯でも行きましょう。
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